一般財団法人アーネスト育成財団

西河技術経営塾・上級コース検討研究会

2015.04.14 上級コース検討研究会(第6回)

<議事録> (407KB)

研究員の山中隆敏からの「MOT 1.0」「MOT 2.0」について報告があった。

1.MOT1.0-MOT2.0テクノロジー・マーケットマトリクスで整理:山中隆敏

MOT1.0とMOT2.0とを図6.1、図6.2のごとく整理した。

テクノロジー・マーケットマトリクスで整理

図6.1 MOT1.0-MOT2.0 テクノロジー・マーケットマトリクスで整理

テクノロジー・ビジネスモデルマトリクスで整理

図6.2 MOT1.0-MOT2.0 テクノロジー・ビジネスモデルマトリクスで整理

上級コース検討研究会第6回

「良い技術があり良いモノを作っているが、ビジネスモデルのやり方が悪くて上手く行って
いない企業がいっぱいある。それを考えて書いてみた」と話す山中隆敏研究員(中央)、
右隣は前田光幸研究員、左隣は議事録作成を担当する書記の尾崎一成(右)。

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<意見交換>

良い技術があり良いモノを作っているが、ビジネスモデルが悪くて上手く行っていない企業が多い

小平和一朗専務理事:1ページ目と2ページ目は基本的に何が違うのか。

山中隆敏研究員:商品とビジネスモデルで比較できるのではないかと考えたのが2枚目。

前田光幸研究員:1ページ目の横軸(テクノロジとビジネスモデル)を分解したようだ。分け方が3つあるのではないか。マーケット、テクノロジ、ビジネスモデルの組み合わせで3通り作れる。

小平:テクノロジ、商品、市場。この3つをつなげるのがビジネスモデルだ。

山中:良い技術が有り良いモノを作っているが、ビジネスモデルのやり方が悪くて上手く行っていない企業がいっぱいある。それを考えて書いてみた。

前田:マーケット、テクノロジだけでは上手く切り分けられないモヤっとした部分が出るが、ビジネスモデルを一本入れると、「テクノロジとビジネスモデル」「マーケットとビジネスモデル」「テクノロジとマーケット」3つの相互関係が見えてくる。

大橋克已研究員:ビジネスモデルの部分が新しい概念として切り口になっている様に見えるが。マーケットとテクノロジについては有る程度分かる、商品サービスとマーケットも分かるが、ビジネスモデルとの対比が今一つ分らない。整理はつくか。

小平:横軸は2つの事項を纏めずに1つにした方がよさそうだ。

前田:マーケット、テクノロジ、ビジネスモデルの3枚で示せるはず。それぞれの事例を出せば非常に分かりやすくなる。

鈴木潤政策研究大学院大学教授:1ページ目の左上の象限がMOT1.0だと思う。いまの西河塾の受講者はここにいる。その人たちに技術の利用を考えさせるのがまず1.0だろう。

小平:1.0の定義も未だ皆が概念を共有していないのだから、「これを1.0の定義として臨んでくれ」として、この整理を進めれば良い。

鈴木:市場について、既存・新規の区分け・捉え方が難しい。「同じ10人買い手が続けて買ってくれているから現存市場」というのは認識が不足している。もしその10人の買い手達も他社の製品が良くなればそちらに移る可能性がある訳で、買い手が離れない様に新規サービスを提供するのであれば新規市場開拓と同じであるはず。

山中:そもそも「新市場創出」は本当に有り得るのかという議論もある。

小平:全然違うイノベーティブな物や、異業種に売っていくという発想が無くはない。

鈴木:プロセスイノベーションもある。それでコスト削減が出来て、同じ市場で利益率が上がる事もある。

鈴木:LINEのモデルはどんなものなのか。

山中:課金・広告になる。

小平:我々の目的のもう一つは、MOT1.0と2.0の新規事業概念は何かにあった。どちらでビジネスをやるかで教育の考え方が異なるだろうという事。スタートアップと言っても色々あるはずでMOT1.0とMOT2.0の定義をキチンとしよう、というのが本来の議論の目的だった。

大橋:この図を見ると、なんとなくMOT1.0とMOT2.0のイメージが頭に入ってくる。ここに出ている具体的な企業のイメージをもう少し詳しく記述すれば、山中氏の頭の中にあるものが具体的な形で抽出出来るのではないか。

小平:そのイメージが提示出来ると、そういう人達に何を教育すべきか、という議論が出来るようになるはずだ。

鈴木教授と小平理事

「市場が既存・新規の区分けは難しい。『同じ10人買い手が続けて買ってくれているから
現存市場』というのは認識不足で、もしその10人の買い手が他社の製品が良くなれば
そちらに移る可能性がある。買い手が離れない様に新規サービスを提供すれば新規市場
開拓と同じ」と話す鈴木潤政策研究大学院大学教授。左隣は小平和一朗専務理事。

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2.基礎コースのカリキュラムの構成
小平和一朗専務理事

<カリキュラム構成資料 >(33KB)

宿題であるカリキュラムの構成について、今まで整理したものが「カリキュラム構成資料 <PDF>」である。最新に更新されていなので、他の教育機関の構成数年前のものである。変わっていると思う。ピンクが当塾の講座を当てはめた物で、コマ数は少ないが網羅性は高い。中小企業の経営者に一通り教えている状況である。次は黄色の部分で、上級コースとして学問と言われる領域をやってはどうかというのが、大橋克己研究員と相談した結果の提案である。ご意見を頂きたい。

<意見交換>

淺野昌宏理事:経営学をベースにした様なものに係ったことがなかったので疑問がある。MOTでは古典をやることはないのか。戦略論、孔子の書、クラウゼビッツの戦争論をやるとか。

小平:歴史学、哲学、心理学、宗教なども含めて西河技術経営塾ではやらない。やるなら他の学部に行ってくださいというスタンス。

淺野:経営という中で、企業統治の観点から必要な事をやらなくてよいのか。

小平:「法務、会社組織、組織人事、経済学」にその匂いはする。

鈴木:芝浦では15回の講義のうち1回は孫子に触れてみた。さらっと触れる程度。

小平:芝浦工大の例では(制約はあるが)立教大学との単位互換制度がある。

淺野:地政学はやるか。

鈴木:そこまではやらない。

小平:グローバルにやるには確かに(地政学は)知っていてほうが良い。海外戦略には必要。

大橋:大雑把にしかやっていない。

小平:浅野氏に、必要と思うリストを作っていただきたい。

鈴木:このリストの中で西河塾に一番近いのは日本工業大学だと思う。中小企業にフォーカスしている。

小平:日本工業大学のカリキュラムは、英語・ロジカルシンキングなど中小企業経営者向けに作られている。アジアの経営もある。

山中:東大にはグローバルのコマがある。

小平:浅野さんの海外戦略のコマがあるので、西河塾でも(グローバルに)取り組んでいる。

前田光幸研究員:同志社にグローバル人的支援がある。

山中:人事・評価システムは知っている必要があるだろう。

小平:海外の仕組み・制度は知っていた方が良いだろう。

大橋:日本型経営の話をして、その対比としてグローバルを入れれば良い。

小平:西河塾の1コマは、内容的には他校の4コマ以上の情報を入れている。

山中:濃すぎて消化しきれないだろう。

小平:レベル差があっても満足してもらうにはどうしても網羅性が必要だ。参加者の業界も違う。基礎コースはあまりイジらない方が良いだろう。その上で、上級の検討をしている。

上級コースを作るとしたら、この専門職的な知識をどの位学ばなくてはいけないかが問題提起

小平:黄色の部分で15コマの講義が出来る。専門家が教えるとそのジャンルのマスタは出来るだろう。

鈴木:大体20種類。一週間みっちり15コマ、3ヶ月位かかる。

小平:一週間コースは先生・生徒ともかなり疲れるらしい。ただし集中していたほうが先生のアサイン付けやすく、受講者もスケジューリングやり易い様だ。

前田:黄色の部分の意味は。

小平:学問的な領域の表現をしている。西河塾にはこの科目は無いが、上級コースを作るとしたら、この専門職的な物をどの位学ばなくてはいけないかというのが私の問題提起である。実務経験があるのなら1つ4コマでも十分なのではないか。先生養成のために、もし20×15コマをやれば大学院に負けないレベルになる。しかし、それならスポットで他の大学いったほうが良のではないか、どの程度のカリキュラムでやるべきか、費用負担などの制度設計をどうするかが私の問題提起である。

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