技術経営人財育成と活用に関する研究委員会

2013.01.08 第1回 技術経営人財育成と活用に関する研究委員会

議事録(520KB)

2013年1月8日、「技術経営人財育成と活用に関する研究委員会」(委員長坂巻資敏元リコー常務執行役員)の第1回会合を開催した。会合には、8名の委員の他、西河洋一理事長も参加した。 「目標とする人財育成の人物像や、人財の活用の狙いと目的は、変革の時代であるためか、変化をしている。より具体的に検討するための研究をするため、本研究委員会を設立した」と開会にあたり小平和一朗専務理事から説明があった。

委員会写真

本研究委員会は、経営経験のある委員を中心に8名で構成されている。1年間を任期として、毎月開催される。

西河洋一理事長の挨拶と本委員会に対する期待

日本の若者たちの起業を支援する

西河洋一理事長

「この委員会には素晴らしいメンバーが集まっていて、凄いことが出来そうだという予感を感じている」と挨拶する西河理事長

日本の最近の企業の将来に対する危機感を持っていて、アーネスト財団を立ち上げた。
この研究委員会の委員の経歴を見ると素晴らしい方々が集まっている。活発な活動を展開して欲しいと思う。若い人をこの渦のなかに巻き込んで、独り立ちしてもらい、財団が育てた誰々ということで、世の中に通用する人財ができたら非常にありがたい。
研究委員会自体も、もっと人を増やし、日本の若者たちの起業を支援してほしい。

自己紹介と人材育成に関して考えていること

経営経験をこの研究委員会で役立てたい

浅野昌宏:総合商社丸紅に入り、通信設備、放送設備を途上国の通信省などに収める仕事をしてきた。ニーズを探し、提案をし、資金のスキーム作りをして、入札を経て、受注し、建設を行う仕事に30年近く従事してきた。通信もIPベースになって、ITバブルが弾けるまで、海底ケーブルや光ケーブルで需要を先取りする仕事に取り組んだ。その後、ケーブルテレビの仕事を9年間担当した。技術経営には届かないかもしれないが、途上国で、後半は国内でケーブルTVの経営に携わったので、こういう場所でお役に立てればと思っている。

座学で勉強することも大切だが、一定期間勉強できる場をつくることも重要

大橋委員、奥出委員

「人財育成には実践的な場が与えられる必要がある」と語る元クラレの常務の大橋委員、右は元防衛大学校教授の奥出委員。

大橋克已:クラレに入社して繊維の営業を30年間やってきた。新しい領域やビジネスモデルで繊維ビジネスを残すかというマーティングの仕事を30年してきた。その後、メディカルの分野の事業を6年ほど担当し、分社したときにクラレメディカルの社長を経験した。人財育成には実践的な場が与えられる必要がある。基本的にはジョブトレーニングが経営者やこれからの企業を立ち上げていく人達にとっては必要だ。座学的な形で勉強することも大切だが、どこかで一定期間勉強することができる場を、財団が作って勉強することが重要で、それが出来れば自らがビジネスを起し、またはビジネスをサポートできる人財になる。

日本では戦略に関する教育を全くしていない

奥出阜義:防衛大学校の航空工学を卒業した。そこで零戦の開発者として知られる堀越二郎教授に師事した。自衛隊の教育システムには、リーダーポスト、スタッフポストと教官ポストがあるが、3か所を10年間ずつ担当した。日本には全く戦略が無いと、無いという以前に戦略人財がいない。育てていない。民間には全く無い。日本では戦略に関する教育をしていないという印象があって国際戦略シナジー学会を立上げた。ハンニバル実践講座を7,8年チニジア大使館や首都大学と連携してやっている。この財団が取り組む「実践ビジネスオペレーションスクール」については、是非、戦略という単語を入れて欲しい。

日本には技術経営人財を経営機関で活用できるシステムが少ない

小平和一朗:大学を卒業し、最初に入った大倉電気では、技術部長を目指し技術者として30年間務めた。情報通信事業部長の時に倒産し、民事再生を経験したことがある。今回の財団の設立に当たっては、西河理事長の意向と、考えが合致し、当財団を立ち上げる際に参画させて頂いた。当研究委員会に対する私の思いは、委員会の企画提案の中に整理し、盛り込まれている。

リコーで培った経営経験をこの研究委員会で生かしたい

坂巻資敏:リコーでは、複写機の製品開発、設計と研究テーマの新規事業化の仕事をした。機械の設計出身であるが、複写機に必要な技術全般を担当する機会に恵まれた。複写機の将来の技術の研究開発のマネージャーをやった。研究所を設立する委員として、リコーの将来の研究所の企画をして、それに基づいて今の研究所がある。画像技術研究所の副所長を担当し、カラー処理技術の開発と人財育成を担当した。中央研究所の成果の事業化も担当している。CD-R/RWのデファクトスタンダードを作り、産業としての立ち上げを担当した。リコーを離れてから、ライフワークとして6次産業という植物工場の農業ビジネスを手掛けている。

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「リコーでは、複写機の製品開発、設計と研究テーマの新規事業化の仕事をした」と語る
元リコー常務執行役員の坂巻委員長(中央)、右は西河理事長、左は小平専務理事。

中小企業の管理職にMOTを学ぶ機会を与えたい

佐竹委員

「中小企業の管理職は、忙しくてMOTを学べる機会が少ない。もっと学ぶ 機会を増やすべき」と語るサンシン電気CTOの佐竹委員。

佐竹右幾:根っからの技術者である。戦艦や戦車や戦闘機が好きで、気付いたら防衛大学校に入っていた。そこを卒業し、海上自衛隊の幹部候補生の道を1年間歩んだが、田舎の石川県七尾に戻って会社に入った。その後、今のサンシンには契約社員で入って、商社だった会社に開発部隊をつくった。北陸先端科学技術大学院大学の技術経営と出会った。大企業の管理職クラスは、MOTを勉強すると優秀であるが、会社に戻って組織で学んだことを活用することができない。反対に中小企業の経営者は学んでいるが、中小企業の管理職は、忙しくてMOTを学べる機会が少ないと思われる。

若手もシニアも対象にして、企業家を育てる

柴田智宏:大学では物理を学んだ。富士通に入社し、半導体の事業部に入って、開発企画、工場、営業も経験した。家庭の事情で日本鉱業に入った。日本鉱業は石油と銅の鉱山、精錬の会社で、そこで新規事業を手掛け、電子材料の開発、事業化をやった。その時アメリカで半導体の会社の再建にも取り組んだ。また、芝浦工業大学大学院工学マネジメント研究科でMOT(技術経営)を学んだ。技術ができるが、経営の経験が無くて起業ができない人達を見ている。単なる座学ではなくて、実際を経験した講師から、疑似体験をさせながら事業をどうやるかを学ぶような場を提供し、若手もシニアも対象にして企業家を育てていければと考えている。

日本の技術者は、技術はあってもビジネスセンスに欠けている

山中隆敏:富士通でソフトウェアの情報処理系の開発をしていた。画像処理系に最初取り組んだ。その後医療系のシステムをシステムエンジニアとして取り組んだ。中国ビジネスを手掛けることがあり、中国にいる人間が優秀であることに気付いた。彼らはマネジメント能力が高い。そこで芝浦工業大学大学院のMOTに入った。日本のベンチャーキャピタルは、技術が分からない。研究所にいって研究員と話しをすると、技術はあってもビジネスにいかにするかのセンスが欠けている。欧米のベンチャーキャピタルに負けている。それを何とかしたい。

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「研究所にいって研究員と話しをすると、技術はあってもビジネスのセンスに欠けている」
と語る富士通の山中委員(左)。右は、理事の柴田委員。

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委員長および書記の選出

研究委員会の委員長に坂巻資敏、書記に佐竹右幾を提案し、全員異議なく選出された。

今後の進め方:研究委員会の課題

坂巻委員長から、当研究委員会の3つの課題に関し、説明がされた。

(1)会社を定年で辞めた人財をこれからどのように活用するか

素晴らしい経験とノウハウを持っているが、この人達の資産を現在の日本の経営に生かされていない。
これを活用する仕組みを作れないかが、一番のテーマである。

(2)技術経営人財評価システムの構築

いろいろなところでMOTのセミナー(技術経営人財の教育プログラム)を行っている。 大学でもMOTの講座をやっていて、企業の人も参加して卒業しているが、知識を持って帰るが、会社は変わらないのが現状である。
それは教育がおかしいのではないか。技術を使って企業を活性化させるための人財はどういう人なのか。
物差しを作る。合格した人は現場で成果を出せる。難しいが、現場では求められている。
技術経営人財を評価し、試験を合格した人は、それなりの実績を出せるというというものができるかどうか、皆さんと議論したい。

(3)技術経営人財の養成機関

財団が人財育成の要請機関として、教育・サービスができたら良いなと。我々の財団がやるとしたら、どのような養成カリキュラムで、新しい企業を立ち上げるような経営人財を育てたら良いのか。皆さんと一緒に議論し、西河理事長に出して行きたいと考えている。
与えられている期間は1年である。1年でこの3つのテーマをまとめてみたいと思っているのでよろしくお願いしたい。

研究委員会の進め方について意見交換

坂巻委員長:経営経験のあるシルバー人財を活用することについて、皆さんのお考えを聞きたい。

若くてMOTを学んでいる人たちも一つのターゲットに考えるべきだ

大橋:「シルバーを主体としたとは?」という疑問に対しては、持っている経営資源を開花させるべきという発想だと思う。それも重要な一つ。現在持っている経営資源や考え方を、世の中にいかに出していくのは重要だが主体が育成、教育であれば長く活用することが重要である。60歳過ぎよりも、若くてMOTを学んでいる人たちも一つのターゲットに考えるべきだ。人財を実践的に活用し、活動できる場を提供するのは単純ではない。地方には、意欲はあるがマネージし、経営するところまでできる経営人財が少ない。そういう人達との繋がりを作ることができないかの課題がある。

坂巻委員長:3つのテーマは西河理事長の思いがこもっていると思う。シルバー人材についても理事長の思いがあると思われるので、理事長から伺いたい。

大企業では、MOTを学んだ人の活用が出来ていない

西河理事長:シルバー人材とは、企業で経営経験されている方で、20歳くらい年上の方で、大学の先生もそうであるが、今の団塊の方々には魅了を感じている。自分の場合は、MOT大学院で色々学ぶと、すぐに会社で活かすことが出来たので、非常にプラスになった。大企業にいると、発揮できる立場に無いから、会社に浸透しない。会社が送り込んでいるなら、その成果を社長がどうしたら実践できるかをやらせれば浸透すると思う。経営者とMOTを学んだ人との間のコミュニケーションを全く無くしてしまっているのを見聞きするが、問題かと思う。これだけの人が本研究委員会に集まっているので、成果を期待している。

坂巻委員長:シルバーという制約条件がついているとの見方もあるが。

柴田:ここでは、「シルバーを主として」と書いている。制約かもしれないが、シルバーの中には経験した人もいる、経営をやった人達もいる。その人達が若い人を使う、指導する、育成すると捉えるべきである。

浅野:最初、シルバーを育成するかと思った。シルバーの力を使った人財育成と理解すれば良いのか。

日本の大学では、実学を経験した65歳以降の経営者の活用ができていない

小平:日本ではオーナー会社でない限り65歳くらいで経営の一線からリタイアしてしまう。当財団の問題意識としては、実学と経営学の間をつなぐことができないかも課題としたい。日本の大学では、実学を経験した経営者の活用ができていない。アメリカに比較し、日本には、技術経営に関するノウハウはあるにも関わらず、その知識が生かされていない。シルバーを主としたのは、経営経験のある人達のノウハウを活用できないかとの思いからである。

経営経験するための実践ができる場を提供する

奥出:シルバーの経営力とか、人間力とか、教官的な立場とか、教育リーダー的な立場で活用すること、それを文部省は全くやってない。世の中の企業は実践的に戦っていて、戦略教育のところでギャップができている。例えば「実践戦略ビジネスオペレーションスクール」を立ち上げて、その教官要員に実践戦略能力のある人材をあてて、例えばマクドナルドの副所長をさせて実践経験をさせることが大切だと考えている。

西河:9名程度の会社を作ってしまって、そこで実践させることに取り組むことも考えられるのではないか。

大橋:組織のトータルをマネジメントする経験がないとダメである。そこで組織を学び成長をする。大企業では、10年以上たたないと全体が見えない。ある程度時間が掛るのはやむを得ない。

小平:スタートのシルバーの話に戻したらと思うが。

50名規模の経営と150名以上の会社とでは経営のやり方が異なる

浅野:社長が直接指示できる範囲は50名とか、多くて100名位までであり、従業員が150名から200名以上になると、同じような経営はできない。町工場・中小企業から上に行くときのステップは、組織論や経営者の意識も違わないとできない。ここで育てようとしている人財の目標はどこにあるのかを、最初に認識を合わせなければならない。

坂巻:1万人の会社と50人以下の会社とでは、やり方が全く違う。1万人の会社になると、維持してくれる人がいないと戦艦大和のように動かなくなる。

奥出:10人を指導できる本物のリーダーを絞る。そこから100名のリーダーを探すことをすべきである。いま日本は、人財育成維新に立ち戻らないとグローバル化時代に立ち遅れている。対応ができない大企業は淘汰される。

経営ノウハウがあるにも関わらず、活用するシステムがない

小平:経営人財にという問題提起と、シルバー人材という前提は、経営経験のあるという前提である。財団の設立目的に人財を増やしたいということがある。今の経営のやり方はどうかという疑問もある。経営ノウハウがあるにも関わらず、活用するシステムがないという前提条件がある。組織論でいうとベンチャーも入っているが、ベンチャーの経営論と、浅野氏指摘の通り100人を超えるとマネジメント力が必要になる。100人以上の企業を運営と、育成と、指導できる人財が経営人財だと定義したい。シルバー人材の中にそういう人たちがいる。

大手企業にいると、マネジメント教育で学んだことが即座に実践できないという問題

柴田:シルバーの中から教えることができる人を選択することに取り組みたいが、教える対象は、むしろ大企業の人より、中小企業を相手にした方が効率は上がると考えている。大企業の人は、教えても組織に埋没することが多い。日本の雇用を増やすという観点からは、中小企業を対象にした方が効果が上がる。

坂巻委員長:山中さん、実際に研究所で新しい事業の戦略企画に取り組んでいる。財団の人材育成対象を大企業を外す議論になっているがいかがか。

山中:大企業を対象にやるべきではない。たぶん大企業では潰される。大企業では必要性を理解できない。

大橋:新しいビジネスをしようとする大企業の経営者であれば、理解できると思う。

西河理事長:佐竹さんのようなサムライ魂をもっている人が大企業にいない。ゼネコンに仲間がいるが、独立を勧めてもやらない。借金がない小さな新しい会社が市場に入れば、市場競争に勝てると考える。

柴田:大企業にいても、場を知らないことがある。財団を大企業の人にも教える場にしたい。

坂巻委員長:佐竹さん、書記をしていてしゃべりにくいがいかがか。

大企業であっても中小企業からスタートしている、中小企業は人財の宝

佐竹:人財の宝は、99%中小企業にある。中小も大企業になっている。そういう人達を発掘することをこの財団でできれば良いと考えている。数名からリーダー育成が基本で、100名となるとまた違う。小隊長はできても中隊長はできないということはある。評価システムも、段階的な教育システムにすべきである。大組織を動かせる人間を段階的に作り上げることに取り組みたい。

大橋:経営技術という経営のセオリーがある。私はそれを抽出して、ピックアップして、人財的な評価につなぐことができないか。セオリー、スタイル、やり方を現代的に理解しておかないといけない。過去のやり方ではなく、現代的にやったら良い。

坂巻委員長:今日は理事長の考えを皆で理解して、目標に1年間で合致するようにしたい。世の中の人に認めてもらうためには、実績と成果を上げなくてはならない。実績をあげるには、中小企業の生徒さんを対象にして、我々のサービスを受けた結果、良い結果が出ることに取り組みたい。将来のリーダー研修に取り組みたい。生徒になるような方に来てもらい実践することが大事だと思う。

佐竹:「いしかわMOTシンジケート」という団体があり、年に1回「北陸MOTセミナー」を実施し成功している。運営しているのは中小企業が主体となっていて、成果が出ている。将来のリーダーを育てるのに役立っている。関東圏にはないので、関東版の取り組みを検討したらどうか。

西河理事長:今日は、活発な議論をしてくれた。お金のこともあるが、いまの日本を何とかしたいと思っている。

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