一般財団法人アーネスト育成財団

HRM研究会

2017.12.11 準備会合(第8回)

打ち合わせメモ (403KB)

HRM研究会準備会合の第1回は、2016年7月に開催した。設立にあたりHRM研究会準備会合と準備をつけたのは、研究目的をどうするのかと問われた時に、まだまだ概念の段階にあり、とりあえず議論してみようとの背景があった。準備会合も回を重ね、2017年12月11日に第8回目の会合を終えた段階でグローバル経営人財としての議論を総括すると、技術経営人財育成の観点からはグローバル経営人財像が明確になるとともに、育成するとの観点からは、資質としての一面が強いことが分り、育成法を明示することの難しさも見えてきた。葛藤の8回の準備会合であったが、今回で終了することとした。

意見交換

下斗米氏から問題が提起され、熱心な意見交換が行われた。

誤っていないか、グローバル評価

座長(小平和一朗):下斗米秀之から問題提起された参考文献の『「グローバル人材」をめぐる政策と現実』(注4)で記述している内容に対し、議論をしたい。

淺野昌宏:12章の「グローバル・マルチカルチュラル・ミドルクラスと分断されるシティズンシップ」の箇所で外国人に求める人材として「企業が求める人材は協調性」と言っているのが気になる。

杉本晴重:私は「実際に日本で働く外国人と政策のギャップ」というところである。

小平:海外進出の現地法人の社長には現地の人を雇い、現地の人に任せている事が多い。最近は取締役会議に外国人を入れている。

杉本:商品企画などにも、現地で採用して雇用している。

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外国語で授業をしているかでグローバルを評価している

前田光幸:この本を読み11章(グローバル人材の育成をめぐる企業と大学とのギャップ)と8章(日本企業における「ダイバーシティ革命」と外国人雇用について)が気になった。日本の企業の姿勢がどうなのかがある。海外展開が進んでいるが、採用する人事部はそのような概念が欠落している。「外国人を雇ったほうがダイバーシティが上がり評判がよくなる」「日本語で話して欲しい」「協調性が欲しい」「コミュニケーション能力が欲しい」「ストレス耐性が高いほうが良い」となる。
大学は、文科省の間違った指導で、グローバル指数で追求している。グローバル指数とは、「外国語での授業をどの程度やっているか。英語で書かれているか。引用数とか、留学生が多い」とかで評価している」。それは日本企業が海外の事業展開で求める人材と無関係であることが分からない。
一番良い方法は、大学の上層部が、人事部ではなく企業のトップと話しをして、どのような人材を求めているかを話しあうべきだ。

米国は担当している部門が採用

杉本:人事部が採用するのは、日本だけである。米国での人の採用は担当部門(現場)がやる。

小平:指摘の通り開発プロジェクトとかの実行部隊のリーダーが採用権限を持っている。人脈を持っていることを前提として、リーダーとして採用されている。

前田:大学はどうすれば良いか。

下斗米:米国は、かなり政策的に専門職ビザを作って取り組んでいる。それを日本はやっていない。世界的に技術者の獲得競争が行われているにも関らず、日本がそこに無頓着なのは逆に興味がある。日本は世界から相手にされていないと見るのか。日本は足りているとみるのか。

浅野:日本側が無頓着と言うのは政府レベルの議論であって、技術の現場では違うのではないか。

小平:日本は基本的に労働者が欲しい。学生にしてビザを渡す。実習生と称して、労働者を受け入れている。来る外国人は、日本で働きたくて来る。大学生などの目的も就労目的であったらする。本来の目的外で、現場の労働者を受け入れている。今や外国人労働者抜きに日本の工事は進まない。

杉本:結局、移民問題になる。

下斗米:この研究書は移民政策に関する問題を扱っている。先生たちが関心あるのは、第2部(グローバル人材雇用と移動の現場から)とか第3部(グローバル人材)をめぐる諸論点)だと思う。

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日本で就職を望む留学生は多い

前田:日本には、十何万の留学生がいて、日本に数年いる。何%が日本の企業に就職しているのか。

小平:日本に来ている知り合いの留学生の多くは、日本で就職するというより、日本人とコネクションを作りたくて来ているという。

杉本:私が大学の時に留学していた学生はそうであった。国に帰って自国の産業を育てて、そういう人たちは国の役人などになっている。今来ている留学生は、日本のグローバル企業で働きたいと思っているのではないか。

前田:現状の留学生の過半数は、日本の企業で働きたいと思っているができない。

杉本:そういう話が多い。日本人の学生より、優秀である。昔の高度成長期には、外国人も雇っていた。バブル崩壊後少なくなった。

前田:大学は、学生や留学生がグローバル人材になって欲しいと考えていると思う。専門性を備えたグローバル人材になって欲しい。現状日本の企業は、大学生に白無垢の、地頭の良い学生であれば良いと思っていて、知識を求めていない。それではいけないので、大学は、企業とコミュニケーションをして、企業が求める人材を育てなければならない。

アイデンティティを持つこと

前田:グローバル人材は、経験の中でした育たないと思っている。企業は、そのような環境を与え、育成すべきだと思う。その時、自分のアイデンティティを持つことが重要である。外国では、アイデンティティをもっていない人間は相手にされない。アイデンティティは自分で育てるしかない。

小平:新入社員教育で、多くの企業が企業忠誠心を教える。外国人には、なじめないと思う。

淺野:外国人を外から日本に持ってくる必然性は少ないのではないか。グローバル人財を外に持っていくというニーズと、グローバル人財を国内に持ってきて働かせるという2つのニーズがある。その2つを比べたら、圧倒的にグローバル人財を外に出したいというニーズが強いのではないか。

小平:イノベーティブな企業体質にするために、外国人労働者を受け入れる企業もある。

下斗米:日本で働きたいという外国人労働者が増えている。一回はまってしまえばメリットがある。

前田:必要に迫られれば、誰でもしゃべれるようになる。

小平:「英語で論文を書こう」とか、「英語で講義をしなくてはならない」とか、「英語を使う」ことがグローバル評価のマスト(MUST)になっている。そのコンセプトにグローバル化の匂いがしない。

どこでも経営できる経営人財

小平:準備会合の議論もここまで来た。そろそろこの議論もまとめなければならない。

杉本:グローバル人財というのがあるのではなくて、企業の置かれた環境と状況で人財が要求されてくる。刻々、状況が変わる。日本の企業がその変化に対応して変わってない。大学も変われてないという状況にある。そういうところに対して、我々に何ができるかというと、手に余る気がしている。しかも、個別に企業の事情は異なる。実際には、それぞれで取り組んでいる。

小平:財団の取り組みは、経営者の人財育成に主眼をおいている。ここまで研究に取り組んできたら経営者の人財としての議論が見えてきた。レーバーとか、中間層とか、海外に送りだす人材の扱いを議論すると複雑になる。
経営人財となったら特別なことをするのではなく、国内で経営ができるような人であれば、グローバルであろうと、グローバルでなかろうと経営はできる気がする。

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