地方創生研究会

2019.11.24 地方創生研究会(第1回)

打ち合わせメモ (707KB)

令和元年10月24日、財団内会議室にて、「地方創生研究会(第一回」を開催した。
座長に吉池富士夫が就任した。埼玉県秩父農林振興センター管理部韮塚功担当部長がオブザーバー参加した。次回からは、正式メンバーとして参加する。

地方創生研究会(第1回)

左から、ワンズデー代表取締役の石井唯行、専務理事の小平和一朗、飯田グループホールディングス社長付の吉池富士夫(座長)、財団理事長の西河洋一、財団理事の淺野昌宏、芝浦工業大学准教授の平田貞代が参加。 写真には入っていないが埼玉県秩父農林振興センター管理部韮塚功担当部長がオブザーバー参加。

ワクワク感を地方に求められるか(財団理事 淺野昌宏)

地方の問題を考える時、行政の観点からの議論や、地域振興の観点からの議論は盛んに行われている。しかし、生まれ育った土地に住み続ける人、他所から移住しようとする人、故郷に帰ろうとする人が議論することは少ない。
個人のサイドから考えてみる。
(1)地方では、挑戦できる機会や環境が限定される。従ってチャンスにめぐり合える確率が低い。
(2)地方では、刺激的な人と出会うチャンスが少ない。ネットワーク作りで不利である。
(3)地方では、働く場の選択肢が極めて少ない。職業選択の幅が限定される。
これらがワクワク感を持てない大きな要因となっている。

個人には多様性の観点が必要

個人にとって、ワクワクと感ずるもの、挑戦したくなるような刺激的なものは、人それぞれに異なり自分の所属する地域あるいは社会の中から、どの様に見つけるかは個々の生き方の問題でもある。
ワクワクするものは、百人いれば百通りある。一地方や一地域に限定された中では、選択肢が少なく、個々人にとってマッチングの確度が低くなる。

欧州の地方創生研究からの話題(芝浦工業大学准教授 平田貞代)

ヨーロッパの地方創生といっても全てでないが、スロベニアやデンマーク等を訪問したり大学と共同研究をしている。意見交換をする中で、日本との違いが見えた。日本では地方創生の予算が取られて、しっかり取り組んでいるが、スロベニアやデンマークなどのヨーロッパの小さい国では、政府の支援はない。
しかし、小規模ながら勢いはある。どちらも小さい国だが日本と変わりない自然とか、文化とか、観光資源はある。日本では、高齢化、人口減少を食い止めるのが最先端である。ヨーロッパでは、高齢化問題はあるがレジャーが中心である。いかに人は楽しく生活できるかが、ビジネスになり、課題として研究されている。
日本は自治体が取り組んでいるのに対し、ヨーロッパでは、アントレプナー(起業家)が中心で、大企業を巻き込んで予算獲得から取り組んでいる。助成金頼みではないので上手くいかない場合でも資金を得て、自活している。どちらも小さな国なので、予算源は、グローバルな視点で、クラウドファンディングで海外を含めて資金を集める。
日本は、何とか事業とか、何とかプロジェクトといって、目的を決めて何年かやっているが、ヨーロッパでは、参加型デザインでやっている。
日本は地方創生の研究が、最近活発になっている。東京の一極集中を軽減しようということで高まっている。ヨーロッパでは、いかに儲けるかの、ビジネスの一つとして取り組まれている。
そういう違いがあるので、日本では、まず支援とか、ボランティアから始める。儲けることに目標を置いてはいるが、まずは支援ということが重視されている。

ビジネスサポートセンター開設(ワンズデー社長 石井唯行)

千葉・館山の課題は、若い世代の人口減少である。
一つ目に南房総エリアに高校を卒業した後の大学や専門学校がないことがある。優秀な人材が都内とか県北の大学に行ってしまう。南房総エリアの優秀な人材は、安房高校を目指す。安房高校を卒業すると、殆ど皆東京の大学に行ってしまう。
2つ目に、仕事の選択しが少ない。企業数が少ないので、高校生に地元企業の求人情報が、届かない。地元に入りたい会社が少ないこともあり、地元以外の主要都市(木更津から県北)や東京の会社に就職してしまう。
3つ目に、地元企業の給与水準が低いこともある。背景には、儲かっている会社が少ないことがある。優秀な人材が、東京に流出していることも考えられる。

サテライトオフィスの開設

対策案を考えた。企業の誘致をして、仕事の選択の幅を広げる。サテライトオフィスを開設し企業誘致を行う。サテライトオフィスで有名なのは徳島の紙屋町ところで、スタートに当たっては町がお金を使って、サテライトオフィスを、つくったり、高速の光通信設備を整えた。
愛知県の岡崎市で取り組んでいる岡崎ビジネスサポートセンター・岡ビスがある。プロのコンサルタントを集めて取り組んでいる。

非常識を常識に変える地方創生(財団専務理事 小平和一朗)

地方創生問題は世間が非常識だと思っていることを常識に変えるイノベーション課題である。
地方で過ごすための快適な住宅の提供。今から館山に住もうと思っても、住宅は準備されてない。田舎は土地を売りたがらない。家を容易に見つけることは難しい。
以下要約、成長可能な地場産業の育成。創造的な仕事をするための自然のなかの事務所。シェアオフィス、サテライトオフィス。
東京にいってしまった人をUターン。地方に根差す文化。地方の教育環境の整備。安心して預けられる保育施設。
地方には自然があり、癒しの空間が広がっている。住居は、所有(資産)から、一時利用(経費)へ変遷。地方のシェアハウスで新たなコミュニティの形成。シェアハウスは、老人介護施設でもありシェアオフィスでもあり、ホテルでもある。センターはホテルのロビーイメージ。地方にある美味しいレストラン。とても素敵なリゾートホテル。ブランド野菜。
森の中の音楽会。安価に使えるスポーツ施設。散策コース、ハイキングコース、魚釣り。森の中の美術館。
最初は、仕事づくりにある。

都市と農山村の持続的相利共生を目指す第3次産業
(埼玉県秩父農林振興センター管理部担当部長 韮塚 功)

サービス産業としての農業をやって良いと考えている。具体的には、次の3つのことに取り組んでいる。

(1)サークルファーム

一つが、サークルファームである。埼玉県政策研修誌に、サークルファームという考え方を投稿した。「サークルファームで日本再生」と検索すると出てくる。
サークルとは、都市側が主体となるソフト活動である。都市的サークルを活用して、米作りなどの農業の営みを活用し、メンバーの親睦、福利厚生、教養等の向上を図るとともに農山村との縁を結ぶ「場」のこと。そのグループは、米づくりを念頭に取り組んでいる。農村との縁結びを、もっと積極的にやってはどうかと投げかけている。

(2)「コト」と「トキ」を一緒にして、「コトキ」農業

2番目がコトキ農業といっている。できれば農村側に頑張って欲しいと思っている。コトキ農業とは、農山村側が主体となるソフト活動である。都市住民である消費者のコト消費とトキ消費とを対応させる農業のことである。
これからの消費傾向として「トキ消費」。同じような志向を持つ人々がインターネットで集まってきて、一緒に、その時、その場でしか味わえない盛り上がりを楽しむ。「コト」と「トキ」を一緒にして、「コトキ」農業と呼んでいる。

(3)田舎の駅(MURA base network)

田舎の駅とは、都市と農山村が連携して、ソフト・ハードの活動である。秩父などでは、山の上の集落は、年寄だけになっている。集落の住民が「お茶飲み処」として集える場所であるとともに、そこが都会から来た農山村体験希望者が、休憩できる「むらベース」の拠点施設を整備する。
農業体験をしても、休むスペースが必要である。休憩所には、着替えする場所、シャワー、トイレ、調理できる場所などが設備されている。集会場なども整備できずに放置されている。クラウファンディングやふるさと納税などの民間資金を入れて整備する。「田舎の駅」を、むらベースで作る。

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