地方創生研究会

2022.04.11 地方創生研究会(第5回)

打ち合わせメモ(901KB)

令和4年4月11日、地方創生研究会(第五回)を財団内会議室にて、ZOOMを併用して開催した。今回は尾瀬の入口である片品村で地方創生に取り組む六本木勇治を講師に招いて「おぜのさと倶楽部~みんなの未来を共に創る風土を目指して~」と題して、活動状況の報告を受けた。
おぜのさとプロジェクトでは、水芭蕉公園づくり、オゼギルド、山育の聖地の3つに取り組んでいる。次世代が未来に伝えたくなる里山×山里づくりの風土をつくることを考えている。われわれの世代だけで終わらすのは忍びない。この水源エリアを未来に繋いでいく。価値の可能性を自分たちで考え提案する。外からの力をうまく生かしていく。そういう風土を作る取り組みしたいと考えていると報告があった。

講師の六本木勇治

講 師:六本木勇治(尾瀬パークホテル企画・営業・広報部長)

参加者:吉池富士夫(座長、芝浦工業大学理事)Zoom、
平田貞代(芝浦工業大学准教授)Zoom、
石井唯行((株)ワンズディー代表取締役)Zoom、
石井博臣((株)ワンズディー地方創生事業部、元館山市役所経済観光部長)Zoom、
韮塚功(元埼玉県秩父農林振興センター管理部担当部長)、
前田光幸(評議員、エネルギー&イノベーション研究所代表)Zoom、
六本木勇治(尾瀬パークホテル企画・営業・広報部長)、
西河洋一理事長 Zoom、小平和一朗専務理事、淺野昌宏理事(アフリカ協会副理事長)、
山中隆俊理事((株)メデカルパーフェクト代表取締役社長)

欠席者:小坂哲平(小坂建設代表取締役)

山育の聖地を群馬県北部から発信
おぜのさと倶楽部 みんなの未来を共に創る風土を目指して

【講演】講師(六本木)群馬県は首都圏の中にあり、豊かな山林環境と郷とよばれる地域と街とよばれる地域で構成されている。山。郷、街という3要素を持つ。
目的は地域課題解決のために遊休不動産をリノベーションして従前の活性化策とは全く異なる新たな機能を産み、地域的広がりへと拡充させる。街が単なる流通消費の場ではなくプラス生産・交流・サービスの場にする。(図1)

図1 山、郷、街、県内の様々な地域

コロナ禍で大きな変化が起きた

コロナが発生し、この3年で課題の質と量が大きく変わった。何が起きたかは、皆様の地域と変わりない。従来から取り組んできた地域の活性化事業が停止した。新たな取り組みの必要性を感じない人がいなくなった。変わるチャンスだ。地域の特徴でなかなか新しいことや変化することが難しかったが変化するチャンスが来た。

郷とづくりを新しいコンテンツに

「地域内の関わりしろを解放し外からの人と経済の流れを創る取り組みをやっていく」と言語化。地域のお祭りなどの事業は内向きの交流になっていたが、このままではお祭りも維持できない事態になる。やめるのではなく、それを解放して外からの人の流れを作っていく。うまい形で途絶えさせないで繋いでいく。プラットフォームを活用しながらやっていく。

目指す姿は「里山」×「山里」

目指す姿は「里山×山里」を考えている。里山というと尾瀬が自分たちの生活を守ってきた。ここについては国立公園化したこともあり、国の資金も県の資金も入っている。それと尾瀬の敷地の七割を東電が持っていて、維持管理は東電がやってきた。(図2)

図2 目指す姿は里山×山里

しかし、観光地的な魅力が欠けてしまい、他の地域に流れていった。それを山里で受け止めて、新しい取り組みで新しい地域の創発を受け止めて新しい地域づくりができればと考えている。

さとづくりを新しいコンテンツに

さとづくりを新しいコンテンツにという考え方がある。グリーンシーズンは尾瀬がメイインで、冬はスキー場となっていた。そこに顧客がきて片品村は潤っていた。ニーズの変化や少子高齢化もあり基幹だった部分から少し背骨がずれはじめた。
今までの基幹産業に頼っているだけでは、沼田市から片品村への街道沿いに未来がないし、我々も未来を描けない。「心の古里が必要である」ということを言ってくれる方をコロナ禍で発見した。われわれの仲間になって古里づくりを体験し、「郷づくり」に取り組んで欲しいと考えている。

おぜのさとプロジェクト

今年度から動き始めるおぜのさとプロジェクトは、水芭蕉公園づくり、オゼギルド、山育の聖地の3つに取り組む。
尾瀬国立公園は群馬県の中で自然環境学習とか自然体験とかのメッカといて今まで進んできた。その背景を生かして地域ならではの教育の在り方を提案したい。一つとして山育の聖地を目指したい。自分達できちんと消化し、提供する仕組みとする。

質疑応答

司会(吉池):アドバイスを頂きたい。山と海と街という発想で館山の石井さんいかがですか。

質問(石井唯行):山サウナをやられているがいかがか。

回答(講師):アウトドアーに積極的に取り組もうと始めた事業で、個別客やグループに提供できるサービスを考えた。リストニアに訪問した時にユネスコ無形文化遺産になるような、サウナ文化があった。自然の中で、自分たちの感覚を研ぎ澄ますような文化で、それがおもてなしになる。体感物価は日本の3分の1であるがサウナを体験させるのに約2万円。地方の山の中でサウナを2、3時間体験させるだけである。今回コロナになっても色々な人とつながりができた。レピート率が高い。ハードユーザは一年に十回来る。2百万円の投資で10倍くらいの売上ができた。地域と関わり合いを持ちたい都市部の人が来てくれた。

意見(石井博臣):2年前まで館山市役所に努めていた。沼田市と片品村を含めて一市一町三村が地域観光圏などの扱いや、日帰りと宿泊の比率などはどのくらいか。

回答(講師):日帰り3対宿泊1である。一市一町三村が集まると大きな規模になる。コロナ前、観光客数は日光市と利根沼田と同規模である。コロナ前は連携をしてなかったがコロナになってDMOを組んだ。(注1)

意見(平田)民間主導でここまで長期間持続されて、成果をダ出されている持続性は素晴らしい。活動をされている方は何人か。

回答(講師):数人いる。またコロナ禍でデジタルツールを使った仲間はいる。尾瀬は好きだというリーダーもいる。17年間の地域づくりの経験からは、意識して人材を育成しないとバトンを渡せる人は出来ない。青少年育成事業に取り組んでいる。実際にバトンを渡そうとすると、大学生からでは遅い。中学生から交流を持って高校まで交流をしていく必要がある。利根沼田夢大学という中高生が主体で取り組む市民大学の中で、交流の場での経験値を貯められ、七年取り組んでようやく数人ほど目が出てきた。

(注1)DMO(Destination Management/Marketing Organization:観光地域づくり法人)
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