地方創生研究会
2019.12.06 地方創生研究会(第2回)
打ち合わせメモ(513KB)
令和元年12月6日、第二回目になる地方創生研究会を財団内会議室にて開催した。今回は埼玉県秩父農林振興センター管理部韮塚功担当部長から埼玉県で取り組んだ地方創生活動について聞いた。
「サークルファーム」企画、実践
埼玉県秩父農林振興センター管理部担当部長 韮塚功
「都会の若い人たちに伝えることが出来ないか。潜在的にはやりたい人はいるようなきがする」と韮塚氏。
県で農政を30年やってきた。実践的に取り組んだ「サークルファーム」の事例を報告する。埼玉県政策研修誌『彩の国さいたま人づくり広域連合政策情報誌』は毎年出している。そこにサークルファームという考え方を投稿した。
補助金でやろうとすると、農村側がお膳立てをして取組むことになる。3年間くらい取り組んで、補助金が切れると終わる。したがってサークルは、都市側が主体とならないと長続きしない。農村側がやるが、思うように集まらなかったりする。
都市と農村の交流の取り組みとして、練馬区などでは体験農園が流行ってきている。畑での野菜栽培で、民間会社などの体験農園で成功している。ただ、水田ではうまくいかない。畑のように区画を割って、貸すというのが難しいからだ。田んぼで体験農園をやるとしたら、田んぼを一筆、この区画を丸々使ってやらないと難しい。小さく割ることはできない。
都会側に十人程度参加するサークルを組んでもらって取り組むことを考えた。若い人たちは、都会生まれの都会育ちが多くなっているので「都市住民のためのコミュニティ活性化や新たな田舎・故郷づくり」と考え企画した。
都市サイドからの要請を受けて農山村サイドが協力するというのが基本的スタンスである。これを継続するには、都市サイドのそれなりの努力と時間が必要になるからである。従来の農山村サイドから発信する都市農山村交流事業は都市住民をお客様扱いしすぎ、行政などの支援がないと継続性と波及性に課題があった。
農業体験が出来る新たな提案
山間地域の小区画農地にも対応できるよう、その運営方式は個々人ではなくサークルを対象として受け入れる、農地一筆単位の「農園利用方式」を原則とした。これは一筆の農地を細かく区割りして不特定多数の都市住民を対象とする従来の体験農園の煩雑さを軽減しつつ安定収入を確保するなど、受入れ農家にとっても経済的メリットが感じられるなければ長続きしないと考えた。過剰なボランティアを要求すべきではない。
そこで一筆で取れるお米の値段以上の前金で払う。農協に販売している前金より、多い金額を支払う制度にした。
次に都市側のサークルが「田植えをさせてください」「稲狩りをさせてください」といえるが、あくまでも前提は農家が栽培したものを都会の人が買うことにする制度とした都会の人が、作業をするといってもできないので、農家と都市の人の間にコーディネーターを設けた。農家の息子が、コーディネーターになってくれた。「米代+コーディネーター代」を払って、通常のコメ価格の倍近く払った。コーディネーターは、コメ作りを知っていればできる。
セミナーで講演し「10名くらい集めてくれたら、サークルファームをやろう」と提案したら女性を中心に集まった。そのプロジェクトを県の仕事として「サークルファーム」を位置付けた。