一般財団法人アーネスト育成財団

地方創生研究会

2020.02.21 地方創生研究会(第3回)

打ち合わせメモ(708KB)

令和元年12月6日、第二回目になる地方創生研究会を財団内会議室にて開催した。今回は埼玉県秩父農林振興センター管理部韮塚功担当部長から埼玉県で取り組んだ地方創生活動について聞いた。

改善が見られない地域振興問題
芝浦工業大学准教授 平田貞代

「農業をやりませんかと言っても集まらないが、プログラムをやりませんかと言えば、他県から来る可能性はある」と平田貞代准教授。

学術界における地域振興地域創生研究の動向とをいろいろな分野から、どのような研究がされているかを報告する。地方創成に取組む以前から、地域はどこにでもあり、地方の振興は不可欠で、長く取り組まれて来たにも関わらず、過疎化や一都市集中は未だ解消されていない。
学術界では、地域振興や過疎化問題を様々な分野で研究テーマとしてとりあげて来た。話題には常に上がっているのにかかわらず、解決というか、改善が見られないことに疑問を持っていた。

民俗学における地域振興の理論

民俗学・文化人類学では、地域振興についてどのような理論の展開があったか。地方創生と地域振興という表現はケースバイケースで使い分けていて、学術界では地域振興という方が一般的である。政策を論じるときは、地方創生というキーワードを使うというように、学術界では使い分けている。
民族学・文化人類学の中では、「・・論」というものは少なく、互助社会論というのが体系化されている。『互助社会論』(注1)があり書籍としては古くないが、内容としては「柳田邦夫」のところから整理されている。体系化された内容は、すべて日本における情報である。沖縄や東北地方等のいろいろな地域振興が、どのように行われて来たかという情報を整理し、体系化をしている。
生活を維持するための主な構造として、ユイ、テツダイ、モヤイという3つが日本の地方では言われていた。機能的には結束する、援助する、蓄積するという3つのプロセスが無くてはならない。3つがあればコストを掛けずに持続できるという論理である。

社会学における地域振興研究

社会学では、地域振興に関してどのようなキーファクターがあるか。社会学では良くリーダがいないとダメとか、参加型にする必要があるとかよく聞く。ビジネスを立ち上げるとか、起業するとかに比べると地域振興で成功するには合理的でない「リーダ」の方が成功しているという研究がある。
もう一つは哲学っぽいが「不条理な苦痛を軽減するために、創造的苦痛を選択し我が身に引き受けるキーパーソン」というのが地域の振興には登場するという研究もある。最初に理解されなくてもということで、イノベーションマネージメントに近い。
地域振興というと、何となく後退したところからとか、小さな規模でということがあって、イノベーションマネージメントとまったく離れたところにある理論なのかと思ったが、意外とイノベーションマネージメントに似ているところがある。(注2)

経済学からみた地域振興策

経済学からは、多様な事業を創造した方が良いということ、衣食住全てを包括する事業の創成が良いという議論が沢山ある。
地方振興には、事業創出が必要だということは、政府も明示していて、補助金を出して何十年もかけて地方で新事業を創生するという取り組みが行われたという記録は沢山ある。なかなか長続きしない原因が複数で多様でなかったということとか、衣食住を包括していないことが、過去の失敗事例に当てはまると感じている。
補助金が出たから、外部の方とか自治体の方が、一つの事だけを行うというのはよくある。結局、持続性を考えると、地域の振興には、複数の事業を立ち上げた方がよい。複数の事業があれば、それぞれの事業が上手くいかない時期とか、時間が掛かっても、それを共生させていくことができる。その点では、普通の新事業創設とは違う視点である。

情報工学による地域振興

情報工学による地域振興の事例として、島根県のルビーシティマツエ(注3)がある。松江にプログラミング言語ルビーを作った会社があり、そのプログラミング言語をオープンソースで、皆で楽しんで開発しようと始まった。
すると、海外や県外で利用したり、応用したりする人が徐々に増えてきた。松江市で開発をしようと「ルビーの街」という地域ブランドの構築に取組み、プログラム言語を地域振興の売り物にする取り組み事例である。
この講演では「地理学からみた地域振興の構造」「観光学からみた地域し移行」「医学からみた地域振興」などの報告があった。
普遍の法則のようなものが昔からあったとか、地域創生ビジネスモデルの参考になるようなことを伝えたかったと平田准教授。

(注1)恩田守雄(2012)『互助社会論』社会思想社
(注2)竹内啓(1982)『偶然性と必然性』東京大学出版界、256、
(注3)ルビーシティマツエ:Ruby City Matsue
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