一般財団法人アーネスト育成財団

地方創生研究会

2022.07.22 地方創生研究会(第6回)

令和四年7月22日、地方創生研究会(第六回)を財団内会議室にて開催した。事務所に4名の委員が、4名の委員がZoomにて参加した。今回はワンズディー代表取締役の石井唯行を迎え『千葉県南房総エリアでの地方創生事業の取組み』と題して、活動状況の報告を受けた。
石井唯之は、生まれ故郷の千葉県南房総地域の活性化を目的に地方創生事業に取り組んでいる。「南房総に若者を呼び戻す」というスローガンのもと南房総地域の課題解決とビジネスの両立を目指している。魅力あるところに人が集まる。魅力がないから人が出てしまう。魅力を作るにはどうしたら良いのか、何が問われているのかを整理した。

講師 石井唯之

講 師:石井唯行((株)ワンズディー代表取締役)

参加者:吉池富士夫(座長、芝浦工業大学理事)、
西河洋一理事長Zoom、
小平和一朗専務理事、
淺野昌宏理事(アフリカ協会副理事長)、
石井唯行(ワンズディー代表取締役)、
平田貞代(芝浦工業大学准教授)Zoom、
韮塚功(元埼玉県秩父農林振興センター管理部担当部長)、
前田光幸評議員(エネルギー&イノベーション研究所代表)Zoom、
六本木勇治(尾瀬パークホテル企画・営業・広報部長)Zoom

欠席者:山中隆敏理事((株)メデカルパーフェクト代表取締役社長)、
小坂哲平評議員(小坂建設代表取締役)

館山市、本年は四万四千人で22年間で約24%減少している。館山でどういう地域になったらいいか、何をしたらいいのかを社内で議論した。
地域・地方から人が出てしまうのかは全国的にどこも一緒だと思う。仕事が少ないとか、仕事の選択肢がない、給料水準が低い、館山近辺には大学・専門学校はなく高校卒業後の教育機関がない、遊ぶ場所は少ない、病院が少ないとかが挙げられた。
その中で魅力あるまちを作っていく必要がある。魅力を作るにはどうしたら良いのか、うちの会社で関われるできそうなことを上げ6つに整理した。(図1)

  • 仕事の魅力UP
    創業支援、シェアオフィス 等
  • 教育の魅力UP
    体験メニューの開発 等
  • 遊び(観光)の魅力UP
    体験メニューの開発、集客支援 等
  • 食の魅力UP
    食品加工、農地の活用 等
  • 住むの魅力UP
    空き家の活用、移住者向け建物 等
  • 医療・介護の魅力UP
    病院誘致、介護施設の運営 等

図1 地域の課題解決に繋がる事業

実際の事業展開

仕事、遊び、食、住むという分野で6つの事業を展開している。
第一は、宿泊型のワーケーション施設の運営で、LingAnywhere Commons館山の運営を弊社が受託している。
第二は、企業研修サービスで、SnowPeakキャンピングオフィス館山の運営である。
第三は、子供向け体験メニューで「リアル謎解きゲーム×里見八犬伝」の企画運営をしている。
第四は、農地の活用で、企業向け「お米オーナー制度」の運営をしている。
第五は、空き家活用で「房総空き家活用本舗」を運営している。
第六は、シェアオフィスプロジェクトを運営している。

房総空き家活用本舗の運営

第五の空き家活用事業「房総空き家活用本舗」を紹介する。
空き家は、人口が減るのに反比例して増える。館山の2018年の空き家は約七千四千世帯で15年で約2倍近く増えた。
空き家にしておく理由は、物置に使うとか、解体費用をかけたくないとか、将来自分や親族が使うかもしれないとか、貸すと好きなときに利用や処分ができない等、色々である。聞くと、草刈りが大変だ、近所に迷惑がかかる、固定資産税の負担が多い、あまり費用はかけたくない等で困っている。
一方、都内の方とか、地元の方で空き家を使いたい方もいる。双方の話を聞くと繋がるところがあることがわかった。
山奥で貸すことが難しい物件も移住される方とか、2拠点居住をされる方にニーズがある。その中には、戸建ての賃貸に住みたい、庭付きの家がいい、ペット可の物件を探している、DIYでリノベーションしたい、荷物が多いので倉庫スペースが欲しい、飲食店をやりたいなどの需要がることが分かった。そこを繋げていく役目を弊社がやる。家を売りたい方は、売買で割とシンプルだが、売りたくないけれども片付けが大変だという方と使いたい方をマッチングさせる。基本的に弊社の方で賃貸契約をさせていただいて使いたい方に貸す。

コインパーキング方式

入居者がいる間のみ賃料を払う契約にしている。いわゆるコインパーキングと同じ考え。ずっと借りる者がいないとマイナスになってしまうので、入居者がいる間だけ賃料を払う契約にしている。
大家さんは、片付け費用、リフォーム費用、初期投資はなし。借りる方もリフォーム費用なし、現状回復義務なしという形で行っている。残置物の片づけは弊社で行う。最低限の修理は弊社が行う。

爬虫類を飼える環境を得る

事例として、鴨川市で築38年の戸建の賃貸ビジネスを紹介する。
所有者の妹が2年前まで住んでいた。売却はしないとなったが、遠方に住んでいるため、管理が大変で相談が弊社にあった。
当社で片付けとクリーニングを行い「ペット可、DIY可」として募集をした。募集開始日に東金市在住の23歳の男性から応募があり、内見をして即契約となった。

質疑応答

司会(吉池):質問を受けしたい。

質問(韮塚):米のオーナーの会社はどうやって見つけたのか。

回答(講師):この会社はコワーキングスペースで、結局会員にはならなかったが、検討頂いていた企業である。こちらから営業をしたのではなく、問い合わせを受け話している中で興味を持って頂き話が進んだ。

質問(韮塚):実際にやって、オーナー会社の社員の人の感触、やって良かったみたいな感じはあったのか。

回答(講師):最初は田んぼとか入ったことない方が多いので、皆なヌルと入って「ワーとかキャー」と発している。慣れてきて、遊んだり、楽しんだりして笑顔が多くなる。途中からクタクタになってもう少しだから頑張ろう。田植えが完了して、チーム的に達成感があって、その後一緒に館山の食材を食べてもらって喜んで頂いた。

質問(六本木):石井さんには、若者をこう館山に里山に呼び込みたいというのがあったが、目的に向かったときの問題を聞きたい。

講師(石井):弊社がやって、たくさん帰ってきているかというと、そうではない。それをきっかけに1人2人っていうことでUターンになったり、移住に繋がったりという実例は出ている。手応えを感じている。コロナを機に、人の流れが変わった。少しずつ若い人が戻るきっかけに繋がっている。

質問(前田):シェアオフィスというよりは空き家の話があったが、探している人も相当都内にはいると思う。その辺の開拓をどうされようとしているか。

回答(講師):シェアハウスのニーズが非常に高い。シェアハウスは部屋は分かれているが、コミュニティ型の住宅みたいなもの。常に満室経営ができている。初めに館山に移住をしてきて、情報が欲しいとか仲間が欲しいというニーズはある。そういった住宅を新しく建てるのか、既存であるところをシェアハウスのような形に作っていくのかは課題である。

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