西河技術経営塾 入門講座(沼田)1期生
報告2 技術経営人財を育成し、地方を元気に
-今回の入門講座(沼田)は会場を沼田市に移し開催-
地方創生、地方の企業が元気になって雇用を生み出し、税金を沢山地元に落とすことで豊かな地域づくりに貢献できる。この知見は財団が取り組んでいる「地方創生研究」の成果を実践する取り組みである。今回の西河技術経営塾入門講座(沼田)は、協賛企業の小坂建設(株)の小坂哲平代表取締役(右から4番目)の尽力によって実現した。沼田の会場もお借りした。
本講座は、新型コロナ感染拡大もあり、当初予定した4月11日の開講を5月23日に延期して開講した。場所も高崎を予定していたが沼田市にある小坂建設の集会室を借りて開催することとした。
本講座は芙蓉書房から出版された『西河「技術経営学」入門』を教材に使った講座である。『西河技術経営塾』の入門講座として位置付けられ、平易に「技術経営学」を学習し、実務で生かせるように演習に取組む。
技術経営を概括するとエンジニアリング(技術)が経営の中心にあり、その周りに「企業観」「ビジネスモデル」「市場創出」「中長期計画」の4つの経営課題が配置されている。それぞれの経営課題は技術と連携しながら活動をしている。本講座は4部構成、14章で組み立てられている。
経営を支えている技術の存在を学ぶことで、未来を見据えた戦略的経営に取り組める。技術経営は会社の未来を切り開く、未来学である。コトづくりでも、モノづくりでも、エンジニアリングが経営を支えている。エンジニアリングは、経営を支える具現力である。
企業理念、ビジネスモデル、中長期計画、市場創出は、エンジニアリングと深く関わり合いを持つことで機能している。
西河技術経営塾入門講座の概要を紹介する。
「材料を余分に手配しない。現場は失敗が出来ないから真剣に仕事する。厳しくすると、工期も早くなる。しょっちゅう現場に出る必要はないが、経営数値を見て数値がおかしければ、現場に出る。現場に張り付かないと見えないこともある」と西河洋一塾長(左)から若き経営者に助言。
技術経営ノウハウを個別指導
未来に向かって経営計画を立てて、社員と共に取り組むのが経営である。企業理念で経営目的を明らかにし、理念を実現するためのビジネスモデルを構想し、ビジネスモデルを実現するための事業計画を中長期的な視点で作成する。
次に事業計画達成のための具体的な戦略を組織構成員に明らかにする。戦略は、具現力であるエンジニアリングに裏付けされた戦術で組み立てることが必要である。実行に当たっては、企業力である「ヒト、モノ、金」で裏付けされていなければならない。
未来を向いて経営する
「経営は未来学」である。常に未来に向かって経営計画を立案し、社員と共に事業に取り組むことで計画の実現が可能となる。
経営トップは、明確な経営目的である企業理念をもち、理念を実現するためのビジネスモデルを明らかにする。
次にビジネスモデルを実現するための事業計画を策定し、その事業計画は、3年とか5年とかの中期的、長期的な時間軸を意識した経営計画を作成する。
作成した計画を実行するにあたり、取り組むべき戦略を社員と共有する。
戦術、戦力で裏付けされた戦略
経営戦略は、強みの源泉であるエンジリアリングの存在を意識して具現力であるエンジニアリングに裏付けされた戦術が明確でなければならない。まさに戦術は企業力である「ヒト、モノ、金」という実現性のある調達可能な戦力が準備されて可能となる。
経営学ではよく戦略重視といわれるが、戦略だけが一人歩きしても、それを実行するために必要な技術の存在を意識した、技術経営戦略でなければ実行することはできない。
「コストハーフ」について講義する小平専務理事
=予習・復習の実施=
アシスタント講師 小坂哲平
新型コロナウィルス感染拡大の影響で様々な会議や集会などが自粛され、勉強に時間を使えるようになったこともあり、一回の講義に向けて、二回の予習・復習の時間を設けることができている。
予習と復習の時間では、教科書(西河技術経営学入門)の読み合わせはもちろん、宿題である次回講義の演習課題(ビジネスモデル、経営理念、SWOT分析、商品開発戦略、エンジニアリング・ブランド、中長期目標など)について受講生と活発に議論している。
2回の予習においてブラッシュアップした演習課題を講義の中で講師にぶつけて知見を得ることで大きな学びの機会とビジネスのヒントを得ることができている。
当初は10時20分から16時50分までだったが、アーネスト育成財団の小平専務理事のご厚意で9時30分から18時30分まで時間を延長して取組む講義と議論は、ますます白熱している。
この西河技術経営塾入門講座は経営学を学ぶ上で、とても大きな役割を果たしてくれるに違いないと確信している。
受講生同士のビジネスのコラボレーションも、どんどん形になってきた。これからが多いに楽しみである。
今回の取り組みは、財団が取り組む地方創生の具体的な実践である。本研修の協賛企業として、企画提案に取組んだ一員でもあり、アシスタント講師として、演習の司会を担当している。