西河技術経営塾 実践経営スクール 6期生
報告3 第6期生修了式
西河技術経営学を学ぶ
西河技術経営塾6期生5名の修了式を、6月19日東京駅前の日本工業倶楽部にて行った。塾での修了要件に、「塾で何を学んだか」の課題で研究報告書を書き、経営者として、修了レベルにあるかの確認をしている。塾で学んだ技術経営に対する知識を文字化し、レビューを受けることで、塾生の経営知識の検証ができる。その過程で、32回の学びが、知識として体系化され、飛躍的に理解が進む。
6期生の会社と研究報告書の概要を紹介する。
西河技術経営塾6期生、1列目左から、高木英一、小坂勇太、土田雄一郎、西河洋一塾長、石橋隆一、石井唯行。2列目左から、講師の前田光幸、淺野昌宏、杉本晴重。3列目左から、講師の小平和一朗、廣田令子監事、吉池富士夫研究員。今回の塾生は岐阜や沼田から新幹線を使って参加し、塾修了後は懇親会で議論し、夜はホテルに一泊して一番電車で朝帰りをする。地方再生に取組む別な塾生は、時には、館山から高速バスを使って通ってきた。経営者の熱気と活力が塾の学びを盛り上げた。地方創生に繋がる塾での学び。西河技術経営学を学び、経営を理解して、計画的に、未来を向いて目標を明示し、効率的に日本の再生に取り組んでもらえるものと期待している。
【土田 雄一郎 塾生:修了式での研究ノートの報告】
マルヨシイノベーションで再構築
丸嘉工業(岐阜県各務原市)は自動車部品を製造年商35億円である。1959年創業で金属切削加工と部品組立を主としてベアリングを製造していたが、切削加工・組立だけではなく、要素技術を取り入れながら製品群の幅を広げ売上も増やしてきた。
塾で学び、社会的使命とは何かを深く考え、経営とは人財を育成しお金を稼ぐことと再認識した。丸嘉の技術で日本のモノづくりを支え、日本が将来に渡って発展できるように貢献する。さすがと言われる魅力ある企業を目指す。
「技術」を売るサービスに取組む
現状、自動車用部品の賃加工を主とした受け身のモノづくり企業であるが、モノづくりだけが技術ではない。日本国内で賃加工を主とした自動車部品製造には限界が見えている。強みを活かして丸嘉から発信できる事業を起こし「技術」を売るサービスにできないかに取り組む必要に気付く。
強力な現場力を持つがゆえに、一般的な営業は行わなかった。仕事量に限界を定め、それ以上の仕事をとらなかった。営業力を高めて仕事を取り、工夫し、発想を転換し、現場を管理し、施工できる力量を持つ。しかし、今までは、自社で施工しないと品質が下がるとか、顧客の信用が得られないなどと考えていた。塾で学び、この発想を転換できた。
楽しく仕事ができる環境をつくりたいと語る土田専務取締役
【小坂 勇太 塾生:修了式での研究ノートの報告】
小坂建設(群馬県沼田市)は土木工事をメインに事業を展開、創業から64年続いている。
3年前には年商3億円の壁を超え、2年前年には5億円の壁を越えようとしたが達成できなかった。しかし前期は5期生で兄の弊社小坂哲平社長が本塾で学び、公共工事から民間工事へ戦略を転換、新規顧客から2億円の受注に成功、年商5億円の壁を超えた。
知識を蓄えることの重要性を知る
筆者勇太も塾に入り、経営が分かると売上目標10億円を兄とともに目標にしている。学んだ事は経営者のセンスウェア「知性・感性・心性」を磨くことである。知識を身に付ける事、学ぶ事が欠落していた。正しい経営判断をするには、本や新聞から日々情報や知識を得て蓄積すること。
経営判断は誰の責任にも出来ない。そのプレッシャーからくる迷いや悩みも、知識が後押しをし、自信を持てる経営へと繋げられる。入塾前の自分を振り返ると、本塾で経営学を学べたことで、大きな自信を得ることが出来た。
『全社員の幸福を追求』と語る小坂建設専務の小坂勇太
【石井 唯行 塾生:修了式での研究ノートの報告】
新規事業で地方創生に取組む
2009年にケーブルテレビ会社の営業代行を事業とするワンズディーを創業した。東京と千葉を拠点に事業を展開している。
東京での事業は、ケーブルテレビ会社の営業代行と通信工事。
千葉での事業は生まれ故郷の館山市周辺の南房総地域の活性化を目指す地方創生事業である。「南房総に若者を呼び戻す」をスローガンに過疎化が進む南房総地域の人口減少を克服するためにUターン、Iターンを増やし、若者の人口流出に歯止めを掛け、過疎化が進む南房総地域の課題解決とビジネスの両立を目指している。
創業11年目になるが、今まで経営について体系的に学んだことはなく、営業マンの延長で経営をしてきた。社員への営業指導を徹底し、創業6年目に売上を2億円の半ばまで伸ばせたが、その後の業績は横ばい。3億円に一つの壁があると言われているが、その壁を乗り越えられずにいた。その原因が何か、どういった順番でどこから改善したらいいのかが分からず、活路を見出せずにいた。
そんな状況の中、塾に入塾できた。塾では、経営についての本質を体系的に学ぶことができ、業績が伸び悩んでいた原因が徐々に分かってきた。そして壁をどう乗り越え10億円の企業にするか、更に業績を伸ばしていくには、何をどのような順番で改善していけば良いのかが見えてきた。
「数字が無い」に気付くワンズディーの石井唯行社長
【高木 英一 塾生:修了式での研究ノートの報告】
微細ネジ締め電動ドライバー
バンガードシステムズは年商8億円。テーピングマシン等の装置販売事業、テーピングサービスや外観検査などの事業と電流制御技術を用いたモーター制御基板と電動ドライバーの開発・販売の3つの事業を行っている。
電動ドライバーはDCモーターの制御であるサーボ制御をステッピングモーターに適用した当社独自技術を応用した電動ドライバードライバーで2㎜以下の微細ネジの締め付けを自動化する生産ツールである。電動ドライバーは中国及び日本で販売している。
中長期計画を立案し社内に周知
入塾前、社長が提示する経営目標に対して、何をするのか曖昧なまま社員が日々の業務で忙殺されていた。見様見真似で分析を行っていたが、明確な把握ができなかった。塾で経営を考えるうえで必要な知識と手法を学べたことで、問題点の把握と課題の理解を進めることができるようになった。
学びを活かし、中期計画を立案し社内に周知することを実施したことで、製品企画と新市場への足掛かりを作るところまで実現できた。
「更なる事業拡大を目指す」と語る高木英一営業部長
【石橋 隆一 塾生:修了式での研究ノートの報告】
守りの経営で終始したことを反省
紙の商社を退社し、家業でやっていた紙業界の業界紙「紙業新聞社」へ入社。平成23年に社長に就任。ピーク時は5千部を印刷していたが業界の縮小に伴い部数減が止まらず、平成29年に廃業した。同年坪野谷紙業へ入社し、現在、SEHA・JAPANへ出向している。
出席できない日もあったが、授業に参加するにつれて講義の内容や塾生の報告を聞くうちに足りないところに気づかされた。
変革の波にのり変革を作り出す
人口が減少していく中で労働力の確保は避けて通れない問題となってきている。そうした中で弊社グループとしても外国人研修者を受け入れているが、熟練の作業員が減少している中で、色々な場所で業務を1人1人に教えて作業を円滑に回すことは時間だけを費やしてしまい難しい。そこで勉強させていただいたICTの利用についても検討していきながら、大きく変化する時代の中で、変革の波にのり、変革を作り出す経営に取り組んでいく。
まずは自分自身の成長が重要
会社の課題勉強し、自分自身で考える時間を与えて頂いたことが良い経験となった。「自分自身の成長なくして、会社の成長なし」という強い気持ちを持って、塾での学びを会社経営に活かすよう業務にあたっていきたい。
前職では家業の社長を務めておりましたが、業界が縮小していく状況で守りの経営に閉じこもり、無知な自分が目標をたてることなく、何となく会社を運営していたことを今は反省している。
「人財の育成と管理体制」が重要と語る石橋隆一氏