西河技術経営塾 実践経営スクール 7期生
報告5 技術経営学を実践的かつ体系的に学ぶ
ビジネスモデルを想定し、戦略を立案・実行し、成長させるかを座学で学び、
演習の中で実践する
熱心に受講する4名の7期生、1名は遠隔にて自宅から受講している。
担当講師は、小平和一朗専務理事。
西河技術経営塾7期生の最終審査会は、5月27日に電子会議で開催された。審査の結果、5名中3名(植田、稲垣、望月)が修了要件を満足した。植田和真が、修了に当たって『優秀賞』を受賞した。コロナ感染対策もあり、修了式は、中止とした。
西河技術経営塾では、修了にあたり「塾で何を学んだか」の課題が与えられ、研究報告書の作成をしなければならない。その報告書を講師が審査し、修了レベルにあるかの確認をする。
【植田 和真 塾生 : 研究ノートの報告】
社員は人材か人財か
現在、立教大学経営学部で経営学を学んでいる。大学での学びは教授からの一方向型の講義で、十分に学びきれない一面があり疑問を感じていた。そんな時に西河技術経営塾への入塾の機会を得た。
塾での成果は技術経営を実践的かつ体系的に学べたことにある。ビジネスモデルを想定し、戦略を立案・実行し成長をさせるかを、実際経営に携わっている塾生と一緒に学べる貴重な体験をした。
従業員重視の経営が重要
技術経営の本質を学び、社員が会社にとって重要な存在であるかを認識できた。本質とは経営の中心に技術があり、技術は会社ではなく人についてくることだ。
「企業は人なり」会社に人がいなければ事業を行えない。また人財を育成しても、社員が辞めてしまえば会社に技術は残らない。
ビジネスモデルにおける技術の存在を学ぶことから始まった。マーケティング、コミュニケーション、マネジメント、モノづくり、イノベーション、サービス、エンジニアリング等多岐に渡る。
大学で経営学の基本である会計学、ミクロ経済学、マーケティング、リーダーシップ、その他専門的な分野の授業を受けていた。しかし、一般化された理論やプロセスの学びが中心であり、経営が見えなかった。
数値の無い事業計画は意味がない
一方、塾では技術経営学は複合学と言われるように、幅広い知識を実学とともに学んだ。大学で経営学を学んでいる身でありながらも知らないことばかりであった。
塾を受講し一番感じているのが数字の大切さである。具体的な数値のないビジネスモデルや事業計画書ほど、意味のないものはないと毎回の講義で身に染みた。
「経営の中心に技術があり、
会社ではなく人についてくる」
と語る植田和真
【稲垣 通泰 塾生 : 研究ノートの報告】
東南アジアでドレス衣裳事業展開
ベトナムで23年間、日系の会社に務めてきた。その後、ベトナムで飲食、写真修正事業、縫製業の会社を設立。会社員をやりながら自社の運営と、両方やりベトナムで過ごしてきた。
塾で、会社経営を学びビジネスモデルをつくる、戦略を練る事業計画をつくるキャッシュフロー等を考え想像することが出来るようになる。技術経営を学びが実践できるようになり、楽しくなった。
技術的差別化の重要性
エンジニアリング・ブランドを学び商品力を付けるための技術的差別化の重要性を学んだ。
ブランドについて社員と意見交換し、社員と共に商品名、会社ブランド、技術力を顧客に伝えられるようになった。この一年間は、毎日が経営とは何かを考え日々実践し、紙に書く習慣が付いた。
毎日多数の課題に取り掛かる様になり、意見交換や新しい事をする楽しさを仲間と共存できてる事を実感できた。
経営判断は誰の責任にもできない
知識を身に付ける事、学ぶ事が欠落していた。正しい経営判断をするには、本や新聞から日々情報や知識を得て蓄積する。経営判断は誰の責任にも出来ない。そのプレッシャーからくる迷いや悩みも知識が後押しし、自信を持てる経営へと繋げられる。
入塾前の自分を振り返ると、本塾で経営学を学べたことで、大きな自信を得ることが出来た。
「経営学を学び、大きな自信を得た」
と語る稲垣通泰
【望月 秀晃 塾生 : 研究ノートの報告】
住宅産業の中長期戦略
国内分譲住宅トップシェアの(株)飯田グループホールディングスの傘下の(株)アーネストワンに勤務。現在は子会社の(株)アーネストウイングにて経営管理を任されている。
「経営学は未来学」の具体的な作業については、中長期計画を作成することであると学び、作成したが、戦略性がないものであると塾での学びの進展につれ気づく。
エンジニアリングブランド
エンジニアリングブランドを考える上で、市場と技術を両面から理解する必要があり、市場の潜在的ニーズを形式知化できてビジネスになることを学んだ。
事業についてこのような事を考えたことが今まで無かった。
ブランドを構築して他との差別化をはかることができれば、市場の中で勝機が見えてくる。
組織化されたWINGDAIQ
当社は大工として社員を多数雇用しており「組織」として仕事を請負っている。
このように組織としての特徴を生かし、メリットとして前面に押し出せば、十分に他との差別化を図れると考えた。
具体的に組織としての特徴やメリットは以下である。
- 社員同士の施工技術の共有
- 先輩社員から後輩へ技能の伝達
- 社員同士の相互応援による、工期短縮への対応(施工力)
- 安全・技能教育の受講機会
- トラブル発生時の組織対応
日本型経営を継続維持する
従業員を大切にする日本型経営を継続維持していき、学びから得た従業員は会社の財産であるということを、企業文化・風土として育んでいければ人財育成に必ず成功し、その先の、海外展開の成功は確実のものとなる。
WINGDAIQを経営管理する
アーネストウイングの望月秀晃
【原澤 史浩 塾生 : 研究ノートの報告】
群馬県利根郡川場村で林業を営む。川場村は山林が83%を占め人口3,500人ほどの山村である。昭和47年に祖父が創業した原澤林業は、地元の木材を利用した木炭の制作や、しいたけ原木の販売を行ってきた。2011年に原澤林業株式会社を設立した。
2014年に代表取締役社長に就任。現場で働くことが多かったため、経営は全く分からなかった。そんな中、知人の紹介で西河技術経営塾に入塾する機会を得た。
塾では、エンジニアリング・ブランドという考え方や、経営知識の再認識など多くの学びを得た。「お金は企業の血液である」との数値管理の重要性を改めて実感し、かつビジネスモデルについて考え直し、社員とのコミュニケーションの必要性や、企業が目指すべき目標の立て方等、経営知識に基づいて実践することで確実に会社の成長につながることを学べた。
中長期計画、社員への伝え方も改善できた
中長期の経営計画の立て方を学び、具体的な計画の立て方を学ぶことができたことで、数字への意識が変わってきた。今考えると、どんぶり勘定という言葉が、本当に合っているような経営状況だった。
数字への意識が変わることで、決算書の読み方や、数値管理の不足等、よく経営実態を理解できていなかった部分が良く分かるようになり、現状の課題と問題が具体的に把握できるようになった。今まで漠然と伝えていた社員への売上目標などの数値の伝え方も改善できていると考えている。
林業伐採事業で培った技術と土木技術との融合を図る
簡易的な土木工事の範囲で、林業と土木の融合を図り、受注を増やしながら技術の向上と蓄積を行っていく。「環境」や「災害」をテーマに弊社の特徴を示すエンジニアリング・ブランドを築いていく。近年では気候変動による風水害や、土砂崩れの被害が年々増加している中で、伐採から土木工事まで行えることが強みになると考えている。
社員の営業に対する意識の変革が出来た
社員との関わる必要性を改めて学び、コミュニケーションの機会を増やすことに注力した。社員との面談や食事の機会を増やし、話を聞くことで、様々な発見があった。
弊社の社員は技術者が8割を占めるが、技術面の意識向上だけではなく、営業の意識が高まってきた。顧客への対応が良くなり、任せられる業務内容が増え、顧客からの反応も良くなった。
全ての社員が成長し、幸福となることに取組む
(1)今後は西河技術経営塾で学んだことを活かし、「環境」と「災害」をテーマに持続可能な社会の構築の一助になれることを目指し邁進していく。
(2)木材や自然の魅力を活かし、本当の意味で強く、社会に貢献し、森林資源大国である日本の魅力を活かせる会社にする。
(3)そして社員との関わり方も「人と人」であり、心の繋がりの大切さを再認識することができたからこそ、自分自身の人としての成長と経営者としての成長を常に意識し取り組んでいきたい。
「経営知識に基づいて実践することで
会社の成長につながることを学べた」
と語る原澤史浩