一般財団法人アーネスト育成財団

西河技術経営塾 実践経営スクール・基礎コース 4期生

報告2 税金を沢山払える経営者の育成

安定収益を生むビジネスモデルを学ぶ

西河洋一塾長

『経営』というテーマで特別講演(2016.10.12)をする西河洋一塾長

急成長の経営ノウハウを講演

昨年10月(第6回)西河洋一塾長は、演習の時間の中で『経営』と題する特別講演をした。伏見建設(株)代表取締役に平成12年に就任してからの経営について、いかに難問に取り組み、それをどのように解決してきたかについての報告である。

最初の経営テーマ

社長になって最初の経営テーマは「株式上場による資本調達」「安定した利益を生むビジネスモデル構築」「限られた資金を最大限に活用する」「質素倹約、自己資本をできるだけ早く高める」を設定した。

体制の建直し

新社長として取り組んだ体制立て直しは「社名の変更」「ブランド名考案」「社是、社訓の策定」「行動規範、経営方針」「株式上場の準備」「資本政策」「業界慣習の破壊」「事業拡大による求心力増大」「安定した仕事を、絶え間なく出す事で価格を下げる」「約束を守る事で、味方を沢山造る」「企業イメージを改善する。常に正しい仕事」など。

ビジネスモデルの考案

(高く買って、安く売る)
当時建売で3千万円を切る物件は珍しかった。他社売出し3千万円の物件エリアーで1棟5百万円の利益確保の目標を立てる。
建物建築費当時は坪50万、30坪で千5百万円が相場。当社は相場の66掛けの約1千万円で造る。
土地の相場は7百万円、当社は8百万円で百万円高く買う。他社の原価合計は2千5百万円、当社は2千百万円。市場に2千6百万円で売り出す。完成すると百万円下げる。ほぼ他社の原価で販売して4百万円の利益を出す。

経営姿勢

アーネストワンの経営を図1に示す。「企業は収益を上げ、国のために納税しなければ」が光る。

経営

  • 経営は人、物、時間をコントロールして、広く社会に貢献する事。
  • 代表者の一番大切な仕事は、永遠に企業を継続させる事
  • 代表取締役社長は会社の全責任を負う。
  • 経営者は常に正直でなければ成らない。
  • 企業は、社会から必要とされる商品とサービスを開発し提供し続けなければ成らない。
  • 企業は収益を上げ、国のために納税を行わなければ成らない。
  • 時代の変化に対応できなければ生き残れない。
  • 失敗を恐れず、未来に挑戦していかなければ成らない。
  • 全ての関係者が幸せになるような経営が望ましい。

図1 西河洋一の経営姿勢

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【講師のコメント】

経営学を学び売上を10倍にする

小平和一朗講師

4期生を迎えても初心に戻って、塾生の事業化に講師全員が取り組んでいる。いま世界は大変革の時代である。一見緩やかではあるが変革の真最中にいる。塾生には若年層の半減による国内消費の減少を常に伝えている。国内市場はいずれそうなる。ニーズは読むものでは無くて、仮説に基づいて創出するものと教える。「現状の10倍のビジネスモデルに取り組むこと」を課題とする。事業コンセプトを明確にすることで可能になる。
事業の誤りに気付いたら、即座に修正する。中長期計画を組み立てる。常に事業をお金で評価して、黒字の収益モデルを組み立てる。そしてお金を管理する。お金を管理すると、生きた経営の状態がみえてくる。健康管理を怠らない。強みづくりに取り組む。エンジニアリング・ブランドを構築する。顧客の懐に飛び込み、顧客とともにビジネスをする。・・と教える。

小平講師

「10倍のビジネスモデルを設定する」と語る小平講師

グローバルな観点からものを見る

淺野昌宏講師

西河技術経営塾の講師の一人として、2期生、3期生を送り出し、今4期生を担当している。この3年間やってきて感じることは、どの塾生も、32回の講座を終えた時には、思考が柔軟になっていることである。
手前味噌で恐縮だが、入塾時には、自分の経歴や業界の中でしか思考していなかったものが、この経営塾の講座や演習を通じて、広い視点でものを考えることが身についたのではないかと思う。
これからも、塾生が俯瞰的な視点で、グローバルな観点からものを見ることができるように、微力ながらもお手伝いをしたいと思っている。

淺野講師

「広い視野でものを考えることが身に付く」と語る淺野講師

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ビジネスの基礎となる知識と演習

杉本晴重講師

「場が人を育てる」「ビジネスは変化対応力」といわれる。塾生には既に場があり、夢と熱い思いがあるが、実現するには、それなりの基礎知識と知恵と葛藤が必要である。
西河塾ではビジネスの基礎となる知識と演習を通して、塾生自身が高い目標と課題を設定し、自問自答し、知恵を絞り、真のビジネスとは何かを学ぶ機会を提供してきた。
私は塾生が激変するビジネス環境を生き抜き、飛躍する上で、経営者として必要な実務的基本知識(知恵の卵)を「モノづくり」を通して理解してもらうことに注力してきた。塾生には自身で徹底して考え抜き、失敗を恐れず、果敢に新たな挑戦をしてグローバルに通じる人財を目指して欲しい。

杉本講師

「徹底して考え、失敗を恐れず、果敢に挑戦をして
グローバルに通じる人財を目指す」と語る杉本講師

技術経営塾で学び自ら気づく

大橋克已講師

西河技術経営塾を始めて第4期生を迎えた。塾生が企業経営者としての思いを自分のことばで語ることができるようになるかを課題に塾生と毎週格闘している。企業経営の技を習得し、事業の姿を描き、それを聞いて貰い、批判を受け、忠告され、太く・逞しく育て上げるかを9か月の研修で塾生が習得する。最初は漠然とした、混乱していた事業の姿が、徐々に形を成していく。そして自分のことばを見つける段階に入り、自信をもって語るようになると、塾の研修は終わりに近づく。それは①自分の言葉で事業を語る。②講師や塾生からの評価から自ら気づく。➂そして事業の絵姿を画く。これが西河技経営塾で自らが学ぶことである。

大橋講師

「自信をもって語るようになると、塾は終わりに近づく」
と語る大橋講師。

基盤を固め変化を志向する道場

前田光幸講師

これまで企業は経営資源(人財、技術、資金)の強さ、技術開発、差別化、効率化、コスト競争力、品質管理、競争優位の確立、ビジネスモデル、財務戦略などの経営課題を追求してきた。これらの重要性は議論の余地がなく、西河塾では、これらの演習を重視する。
しかし、これだけではない。市場が成熟化し、社会の変化が激しく、市場も技術も予見不可能な状況の中では、これらの経営課題の追求を深化させることが逆に失敗に繋がる場合がある。そこでは、経営課題を常に変化させながら試行錯誤を続け、柔軟な意識構造と組織構造へと切り替えないといけない。
これが中小中堅、ベンチャー企業にとっても極めて重要な事柄であることを、講義と演習を通じて議論していきたい。要は、基盤を固めて、変化を志向する道場が西河塾である。このような議論をする場は他にはないと断言できる。

前田講師

「経営課題を変化させながら試行錯誤を続け、柔軟な
意識構造と組織構造へと切り替える」と前田講師

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西河技術経営塾 実践経営スクール

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