西河技術経営塾 実践経営スクール 8期生
報告2 未来は見えないから創りあげるもの
学んだこと(理論)を文字化し、実践経営(実学)を知識とする
コロナ禍の中で昨年10月に始まった西河技術経営塾8期は、本年7月に修了した。実学に結びついた「技術学」を教示するには、対面形式の講義が効率的であるが、緊急事態宣言が発出されている期間は、遠隔講義形式とした。研究報告書を書く終盤では、個別に面談指導を行い塾生が現状抱える経営上の問題の整理を支援し、講師、受講生のレビューを受け、実践的学びとすることができた。報告書を提出した4名が優良賞を受賞した。
塾も終盤、熱心に受講する西河技術経営塾8期の塾生。
前列右から村脇隆太郎 、為野 大地、小笠原健人、山下史恵。
豊かな社会づくりに取組む経営者
第8期となる西河技術経営塾は昨年の10月に開塾し、本年7月21日に課題発表会を行い4名の塾生が修了要件を満足した。
緊急非常事態宣言が出され、一時休塾や在宅での受講など工夫して乗り越えてきた。西河技術経営塾で何を学んだか8期生から、寄稿があった。
未来を計画する力を学ぶ
塾生 小笠原 健人
(株)TOSETSU
代表取締役 小笠原健人
新米社長として経営知識についてまだまだ無知だったが、西河 技術経営塾に入塾して様々な知見や学びを得ることができた。
会計数値の読み方からモノづくりの考え方、企業理念、ブランドづくり、人づくり、マネジメントなどなど。基礎的な経営知識から会社を大きくさせる考え方、様々なトラブル対処法まで、どれをとっても私には大きな学びとなった。
その中で特に重要だと感じたのは事業計画や中長期計画など未来を計画する力だった。社長がどれだけ具体的な数値で未来を計画できるかで会社の今後が決まり、それをなくして会社の継続はないことを学んだ。
毎週の課題には頭を悩ませていたが、苦労をした分、自社の課題について深く向き合うことができた。これからは学んだことを活かして会社をさらに大きくしていきたい。
貸借対照表を意識した経営を行う
塾生 為野 大地
(株)サンエス警備
代表取締役 為野 大地
西河塾に入塾して、様々な学びを得た。経営とは会社の未来を切り開く未来学である。だからこそビジネスモデルを考え、事業計画を作り、基本戦略、中長期戦略、経営戦略を立てていくことで描いた未来を現実にしていくことができる。「経営は未来学であり、会社の未来を切り開く未来学」といえる。
また、貸借対照表の重要性も学んだ。自己資本を増加させて税金をしっかりと払える会社にする事の大切である。損益計算書だけを気にし、節税ということを考えていたが、塾で貸借対照表や勘定科目も学び会社の体力を考える重要性を気づいた。
貸借対照表は、資産と負債、資本を対照表示をしているため、会社の体力を知るための資料だということ、そして自己資本を増加させて税金をしっかりと払える会社にしていかないと、投資をする力は持てないことを学ぶ。
売上を増加していくための過程では必ず必要な投資が出て来る。より質の高い投資を行うためにも貸借対照表を意識した経営が必要である。
ゼロからイチ
塾生 村脇 隆太郎
(株)四光建設
代表取締役 村脇隆太郎
週に一度の講義を受講するたびに発見があり、発見の数だけ改善がある。その発見から知る改善点は決してネガティブな悩みではなく、未来を切り開く希望になる。
「経営は未来学」未来を見据えた経営戦略を立て、数値目標を定め、中長期計画(5年)数字に対しての根拠や一連の事を概念で捉える。西河技術経営塾は、企業の大小に関係なく皆に平等であり、一歩踏み出す勇気をくれる。講義は第一回から気付きを与えてくれる。
自社の既存事業とビジネスモデルを発表し、第一回目から相当考えさせられる。普段から考えている。やっているが嘘になる程、今までいかに何もやらず何も考えていなかったのか。現実に目を向けるようになる。
事業計画書の作成では、最初は滅茶苦茶な計画になる。講師の先生方からの指摘やアドバイスを頂き講義中も質疑応答形式で行うため改善して行き、徐々に自社の理解へと繋がって行く。講義で得たことをリアルの経営と並行して、すぐに行動を起こすことで、実務に生かすことができた。
今後は中長期の数値目標を達成できるよう更なる新規市場開拓や人員増、そして多角化を図り、自社の強みづくりからブランディングまで、経営者としての仕事をして行く。何もないゼロのところから大きな一歩を踏み出せた。
「書く」作業で自分と向き合う
塾生 山下 史恵
(株)リトロヴォ
代表取締役 山下史恵
技術経営学を通して体系的に学ぶ事で、効率的に実践で生きる知識を得た。と同時に、悩む課題も盛りだくさんになったが、ビジネスモデルを見直すきっかけになった。
検討していた海外進出のビジネスモデルを数値化したことで、課題を抽出する事ができ、目標が具体化した。いかに数値化することが大切か。ということを教えて頂いた。
技術経営の基本である技術(強み)を実行するために「ヒト、モノ、カネ」を準備できているか。と考えたときに、足りてないもの技術経営の基本である技術(強み)を実行するために「ヒト、モノ、カネ」を準備できているか。と考えたときに、足りてないものが浮き彫りとなった。塾の中で、何度も教えて頂いていたことが、報告書をまとめる段階でようやく理解できた。
学び、実践し、実績とする
塾生が書いた研究報告書のテーマとその概要を紹介したい。
小笠原は『社長の役割を技術経営塾で学ぶ(従業員を導き、奮い立たせるリーダー)』と題し「会社を運営する上での知見や、自社の分析、直面して解決してきた問題や行動、今後の経営リーダーとしての課題など」「塾で学んだことは未来学であり、これから進むべき道を照らす光を頂いたようなものと考えている。この光で会社の行く先を遠くまで明るく照らすか、近くをぼんやりと照らすかは社長である筆者にかかっている」と報告。
為野は『税金を払える会社にし中小企業から脱皮する(基礎体力を強化する技術経営(MOT))』と題し「入塾して「経営とは未来を見据えて計画を立て行う事だ」と学び、今までの経営は経営ではないという気づきをもらった」と報告。
村脇は『技術経営を学び、一作業者から会社社長になる』と題し「経営塾はリアルを客観的に捉え会社にとって必要、不要な物や事を洗い出し、実践形式で進めていくので、塾で学んだことをリアルタイムと並行し行動を起こした事で現況打破に繋がる。自社のビジネスモデルや事業計画を考案し物事を数値化し数値に対しての根拠を発表。先生方の厳しくも温かい言葉でやる気が増し、ヒントを頂き、自分が何をどうしていくべきか、自社への理解が増した」と。
山下は『カンボジアで豆腐をつくる(海外進出におけるリスクの回避の方法)』と題し「塾で学び「豆腐のビジネスモデルを数値化した」ことで、それを事業化にするにあたっていかに進めるかの方法論を模索し整理を進めている。アンケート調査でのマーケティング、事業タイミング、事業規模、資金、その他の方法論。海外進出事業で検討している「カンボジアで豆腐をつくる」というビジネスモデルにおいて技術経営学をとおして可視化し、海外進出する上での課題を抽出できたこと、実践する上での意識改革は、今後の経営に大きな財産となった」と報告。
実務に役立つ学びが出来た。