西河技術経営塾 実践経営スクール 5期生
報告2 デジタル広告の活用
事業拡大、経営スピードを上げる
『経営』というテーマで特別講義をする西河洋一塾長。講義の中で塾長は「スピードをあげろ。予定より
前倒しする習慣を構築する。問題が起きたら、即座に解決。ほおっておけば、仕事量が2倍にも
3倍にもなる。部下と相談し、解決まで1点集中」と語る。写真の中央は講義をする西河洋一塾長。
急成長の経営ノウハウを講演
昨年10月(第6回)に西河洋一塾長は、演習の時間の中で『経営』と題する講義をした。平成12に伏見建設㈱代表取締役に就任した時の売上が54億円。13年間経った、平成25年11月に飯田グループホールディングスの社長に就任する直前には、2千億円を超える会社にした。その成長戦略を詳しく説明した。
アーネストワン新社長の建直し
社長として取り組んだ体制立て直しは、社名の変更、ブランド名考案、商標、社是、社訓の策定、行動規範、経営方針、コーポレートポリシー、株式上場の準備、資本政策、既存しがらみの混絶、業界慣習の破壊、事業拡大による求心力増大、安定した仕事を、絶え間なく出す事で価格を下げる、約束を守る事で、味方を沢山つくる、企業イメージを改善する。常に正しい仕事などによりおこなう。
飯田グループ新社長の経営方針
グループの経営理念は「より多くの人々が、幸せに暮らせる住環境を創造し、豊かな社会作りに貢献する」とある。飯田グループホールディングスの西河社長の経営方針を図1に示す。
グループ経営方針(飯田グループホールディングス)
- 住宅分譲業界の健全な発展およびイメージ向上を目指し、住宅分譲市場の拡大・成長に寄与する。
- 常に新時代を切り拓く市場創造のトップ集団であり、社会から信頼・尊敬される企業集団となる。
- 時代の変革をいち早く読み、素早く対応できる企業集団となる。
- グループ企業の強みやノウハウを活かして、業務の効率化と、新しい価値の創造を追求する。
- 法令を遵守するとともに社会正義・社会規範を尊重し、公正な企業活動を展開する。
- 社員が挑戦でき、働き甲斐のある、生き生きとした魅力的な職場にする。
- グループ企業は、お互いよきライバルとして、グループ企業の自主性を尊重するとともに、グループ全体の成長・拡大を図る。
- グループ企業は、万全な危機管理体制を構築し、どのような事態においても迅速・誠実に対応する。
図1 西河洋一の会社の経営方針
【講師のコメント】
ホームページを活用し、PR
小平和一朗講師
塾生の多くが、新入社員の採用で困っている。社員が増えなくては会社が大きくなれない。仕事はあるが、しかし、社員が入ってくれないという悩みを抱える。
社長から、会社の方針を明らかにし「この会社で働きたい」といわせる会社にすべきだと指導している。実際には、いい会社なのだから、表に向かって、その良さを発信しなければならない。ブランドを構築することの目的とその効果を塾では指導している。
まず求人広告の前に会社の顔となるホームページの整備が必要である。多くの会社が、会社のコンセプトに基づいて、戦略的に構築されていない。それを、体系的、階層的に構築する。
企業理念を書く。無い場合には早急に作る。そして、我が社が、何を目指しているか、何をしている会社か、社会的な関わり合い等の社長メッセージを書くとよい。その作成にあたっては、エンジニアリング・ブランディングを意識して取り組んで欲しい。
「働きたくなるような会社にしよう」と語る小平講師
グローバルな視点からの経営を
淺野昌宏講師
ここのところ、英国のEU離脱、欧州での極右政党の台頭、アメリカ・ファーストのトランプ大統領の出現など、反グローバリズムともいえる流れが出てきて、移民排斥や、国と国・国と地域の間にバリヤーを作る動きも目立つようになってきています。しかし、太古の昔から、地域を越えた交易を通じて人類が発展してきた事実に変わりはありません。
グローバリゼーション(グローバル化)と、インターナショナリゼーション(国際化)の間には、概念の違いはあるものの、国や地域を越えた交易の重要性に変わりはありません。第5期の塾生の皆様には、地球を俯瞰する広い視野をもって、これからの経営にあたっていって戴きたいものと願っており、微力ながらこのお手伝いを出来れば嬉しく存ずる次第です。
「地球を俯瞰する広い視野をもって経営を」と語る淺野講師
今後起こる変化を捉え果敢に挑戦
杉本晴重講師
グローバル市場の変化は目覚ましい。AI、IoT、ロボット等技術革新しかり、米国のFANG(注)だけでなく、中国のアリババ、テンセント等新興企業の活躍も目覚ましい。
「場が人を育てる」、「ビジネスは変化対応力」と言われる。塾生には夢と熱い思いがあるが、夢の実現には、経営の基礎知識を持ち、今後起きる変化を捉えて、果敢に挑戦する勇気と知恵そして努力と粘りが必要だ。
現代はスピード時代と言われるが、世界的起業家もこの道を経験してきた。西河塾では、塾生自身が高い目標と課題を設定し、自問自答し知恵を絞り、真の経営者、リーダーとは何かを学ぶ機会を提供してきた。私も「モノづくり」講義を通して、塾生にはグローバルビジネスのチャンスとリスクを知ってもらえたらと思っている。
「今後起こる変化を捉え、挑戦する勇気・知恵・努力・粘りが必要」
と語る杉本講師
(注)FANGとはF(フェースブック)、A(アマゾン)、N(ネットフリックス)、G(グーグル)の総称
「経験知」を伝える
大橋克已講師
西河技術経営塾の講師は5年目になりました。今年私は75才となり後期高齢者です。今年の塾生も熱心に経営の勉強をしています。何を学ぶかは人それぞれに違っています。そのため講師として何を伝えるべきかを何時も考えています。私はビジネス界でずっと仕事をしてきたので、そこで経験した経営の知恵を伝えることで、塾生が「経験知」として将来ビジネスに役立ててもらえたらと思う。
私のささやかな経験知に塾生が関心を持ってもらい、将来企業経営者として、自らが経営課題を解決する時に少しでも役立ててもらえればと思う。
セオリーとしての知識を獲得するだけでなく、先輩の実践を通して得た経験知を企業経営の中に加えて、卒業して欲しいと願っている。
「先輩の経験知を、企業経営の中に加えて
卒業をして欲しい」
と語る大橋講師。
異業種などの連携が課題
前田光幸講師
モノやサービスの提供とは、そのモノやサービスに付随する価値の提供であることは言うまでもない。そしてこれまで、企業はモノやサービスの差別化、コスト優位性を追求してきた。そのための技術開発や生産性の向上、人の育成と組織の強化が、企業の課題であった。この課題への不断の努力は企業の生命線であり、今後とも極めて重要である。
しかし、ユーザはもはやモノ・サービス単体を欲しているだけではない。モノで言えば、使用価値、メンテナンス、リサイクルなどのライフサイクル価値に、サービスで言えば、享受の心地よさ、安心感、信頼感など総合価値に焦点を当てることが大事である。
そのためには、多様な価値観が必要であり、異業種や様々な関係者との連携が企業の新しい課題であり、それが企業の優劣を決める。受講生には当塾を、そういう観点から、この新しい課題を考える「場」として欲しい。
「多様な価値観が必要、そのためにも異業種などとの連携が新しい課題である」
と前田講師